市長報告(令和7年6月定例会)
はじめに
本日、ここに令和7年第3回蕨市議会定例会を招集申し上げましたところ、議員の皆様には、公私とも大変お忙しいなか、ご参集を賜り、厚く御礼を申し上げます。今定例会でご審議いただく案件は、条例案4件、補正予算案2件、契約案2件、その他4件の計12件であります。いずれも重要な案件でありますので、慎重なるご審議をいただき、ご議決くださいますよう、お願い申し上げます。
それでは、先の定例会から今日までの市政の取り組みや当面する課題など、10点について、ご報告を申し上げ、議員各位をはじめ、市民の皆さんのご理解を賜りたいと思います。
市長タウンミーティング
1点目は、市長タウンミーティングについて、ご報告申し上げます。
市民の皆さんと、蕨のまちづくりについて直接語り合う市長タウンミーティングについては、4月12日から20日までの期間、市内7つの公民館において開催し、過去最高となる674名の市民の皆さんにご参加いただきました。
私からは、新年度予算や施策についてご説明させていただき、その後の市民の皆さんとの意見交換では、防災・防犯対策やごみ出しのマナー、公共施設の改善、道路や公園の整備、市立病院の建替えなど、暮らしの身近な問題から市政全般まで、多岐にわたるご意見やご提案をいただき、その一つひとつについて、お答えさせていただきました。お寄せいただいたご意見については、すでに対応したものもありますが、市民の皆さんの声をしっかりと受け止め、今後とも、可能な限り、市政に反映していきたいと考えています。
蕨市プレミアム付きデジタル商品券
2点目は、蕨市プレミアム付きデジタル商品券について、ご報告申し上げます。
依然として厳しい物価高騰が続く中、蕨市では、市独自の物価高騰対策として、「蕨市プレミアム付きデジタル商品券」事業を実施することとし、この間、準備を進めてきましたが、その申込みが6月1日からスタートいたしました。
この事業は、家計の応援と市内経済の活性化を目的に、スマホ決済PayPayで使える、30%のプレミアムが付いたデジタル商品券を販売するもので、県内初の取組みとなります。具体的には、一口13000円分のデジタル商品券を1万円で販売し、発行口数は3万5000口、利用できる対象は、12歳以上の蕨市民で、一人5口まで申し込みが可能です。申込み多数の場合は、なるべく利用できる人数が多くなる方法での抽選となります。
この間、多くの市民の皆さんに円滑にご利用いただくため、ホームページや5月号、6月号の広報蕨の折込みチラシなどで周知を図っているほか、スマホ決済が不慣れな方などを対象に、5月28日から7月にかけ、PayPay本人登録、商品券申込方法、購入方法の3段階からなる延べ15回の説明会を実施することとし、担当スタッフが個別に画面操作をサポートするなど、利用促進に向けた取組みを進めているところです。プレミアム付きデジタル商品券の利用期間は、7月1日から12月末までですが、使える登録店舗は、本日時点で622店舗となっており、大型店を含めて幅広い市内店舗でご利用いただける予定です。
7月の利用開始に向け、一人でも多くの希望者にお申込みいただき、物価高騰から市民生活を守る一助となるよう、引き続き取り組みを進めてまいります。
スマートウエルネスシティ蕨アクションプランの取り組み
3点目は、スマートウエルネスシティ蕨アクションプランの取り組みについて、ご報告申し上げます。
蕨市では、誰もが健康で幸せを実感できる「スマートウエルネスシティ」の実現を目指し、今年3月にアクションプランを策定しました。本年度からは、このプランに基づき、多彩な取り組みを本格化させていきます。
本プランの柱の一つである「歩きたくなる・歩いてしまうまちづくり」の取り組みでは、昨年12月に好評を博した「蕨あるこうキャンペーン」の第2弾を5月1日から31日まで実施いたしました。本キャンペーンは、県の健康アプリ「コバトンALKOOマイレージ」に登録の上、1か月間に8,000歩以上歩いた日が、4日以上ある市民の方に、もれなく500円分のデジタルギフトをプレゼントするもので、結果は、2,907名の方に登録、ご参加いただき、そのうち 1,739名の方が条件を達成されました。昨年の第1弾実施前の登録者数が676名でしたので、この間に4.3倍の市民の皆さんが参加することとなり、生活習慣病や認知症の予防、幸福感の向上などに効果が認められているウォーキングの輪を更に大きく広げることができました。
今後もアクションプランに掲載した取り組みを着実に実施し、市民の皆さんの「健幸づくり」を推進してまいります。
校内教育支援センター「e-station」の整備
4点目は、校内教育支援センター「e-station」の整備について、ご報告申し上げます。
コロナ禍を経て、この間、不登校の子どもたちの増加が全国的な課題となっていますが、蕨市ではこの状況に対応するため、令和4年度に「不登校児童生徒対策協議会」を発足し、令和6年度には「蕨COCOLOプラン」を策定するなど、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策を講じてまいりました。このたび、こうした対策を一層強化するため、全ての中学校に校内教育支援センター「e-station」、通称「エスタ」を整備いたしました。
「エスタ」は、不登校の生徒たちにとって、落ち着いた空間で、自分に合ったペースで学習できる場であり、安心して過ごすことのできる居場所でもあります。そのため、各中学校の「エスタ」には、それぞれ、教員免許を持つ「エスタ教員」1名と「エスタ支援員」1名を配置し、不登校の生徒一人一人に応じた支援を保障し、生徒が学力やコミュニケーション能力を身に付けることで、社会的自立を目指していきます。
この間、不登校児童生徒の支援に関する指針の整備や担当スタッフの研修、保護者説明会による周知などを進め、5月26日より本格的な運用を開始しました。更に、埼玉県のスクールカウンセラーに加え、蕨市独自のスクールカウンセラーも配置し、小・中学校を巡回することで教育相談体制の強化にも取り組んでいます。
引き続き、生徒の関心に応じた学習支援と安心できる居場所づくりを進め、子どもの可能性を最大限に伸ばせる教育環境を整えてまいります。
日本語特別支援教室の東中学校内への整備
5点目は、日本語特別支援教室の東中学校内への整備について、ご報告申し上げます。
蕨市では、平成29年度から、蕨市教育センター内に日本語特別支援教室を開設し、外国から日本に来た児童・生徒のうち、日本語による会話などに困難を抱える児童・生徒に対し、初歩的な日本語や学校生活に必要なルールの習得を指導するなど、安心して学校生活に適応できる環境づくりを進めてまいりました。
近年、蕨市内における外国人児童・生徒の在籍数は増加傾向にあり、特に塚越地区を中心とする地域から、既存の教室へ通学する際の距離や移動の負担が課題として挙げられておりました。こうした現状を踏まえ、今年度、東中学校内に市内で2か所目となる「日本語特別支援教室」を新たに整備するとともに、日本語特別支援教育支援員を1名増員いたしました。早速、10名の児童・生徒が利用しています。
今後も、言語や文化の違いにかかわらず、全ての児童・生徒が安心して学び、充実した学校生活を送ることができるよう、教育支援体制の充実に努めてまいります。
キリンビバレッジ株式会社・蕨警察署との防犯協定の締結
6点目はキリンビバレッジ株式会社と蕨警察署との防犯協定の締結について、ご報告申し上げます。
蕨市では、昨年度、街なか防犯カメラを140基から200基に増設し、県南地域で初めて、家庭用防犯カメラ設置者への補助制度を創設するなど、防犯対策を強化してまいりましたが、昨年の犯罪発生件数は、全国的に増加傾向にあるなか、蕨市では、前年より11.7%少ない614件となり、ピーク時であった平成15年の3,046件と比べて約5分の1にまで減少しています。
そうしたなか、防犯対策の更なる充実を図るため、3月21日、飲料メーカーであるキリンビバレッジ株式会社と蕨警察署、蕨市の三者で「防犯活動に関する協定」を締結いたしました。この協定は三者が連携して、防犯カメラ付き自動販売機を市内の公園等に設置し、安全安心なまちづくりの実現につなげていくもので、すでに蕨市民公園、大荒田交通公園、わらびりんご公園、蕨駅西口第一自転車等駐車場、自治会館の5か所に設置し、運用を開始しております。防犯カメラは、商品サンプルの間に内蔵され、人の目線で映像を取得できるとともに、夜間撮影が可能となっており、自動販売機の外観には、「みまもり自販機」とステッカーを掲げています。
なお、この協定に基づき、防犯カメラ付き自動販売機の設置・運用に関する市の費用負担は発生することがなく、今後も公園や公共施設等への設置を増やし、犯罪抑止力の更なる向上に努めてまいります。
浸水センサの設置
7点目は、浸水センサの設置について、ご報告申し上げます。
この浸水センサは、豪雨などによる道路冠水に備えて、国土交通省で実施している「ワンコイン浸水センサの実証実験」に参加するもので、蕨市では、この4月に浸水センサを設置して運用を開始いたしました。浸水センサの設置箇所は、豪雨の際に冠水の恐れがある、国道17号北町4丁目交差点付近、富士見公園付近、わらび公園付近、中央土橋通りふるさと土橋公園付近、西仲通りディスカウントストア付近、南町桜並木の緑川付近、緑川沿いの塚越小学校付近の計7箇所となります。
この浸水センサは、道路冠水について、10センチ以上、20センチ以上、30センチ以上に分けて表示されるもので、道路冠水状況をただちに確認することが可能となり、迅速かつ円滑に災害対応にあたることができるものと考えています。また、市民の皆さんへの情報提供は、浸水センサの検知状況が国の「浸水センサ表示システム」で公開されていますので、市のホームページなどを通じて周知していきたいと考えています。
和樂備神社との災害協定の締結
8点目は、和樂備神社との災害協定の締結について、ご報告申し上げます。
5月21日、和樂備神社と蕨市との間で「災害時における施設開放に関する協定」を締結いたしました。和樂備神社は、これまでも災害時に屋外で緊急的に避難する指定緊急避難場所となっていましたが、この協定により、災害時に、神社の境内だけでなく、神社の施設の一部を一時的な避難場所として利用させていただけることとなりました。災害時に、避難場所を確保することは、災害から市民の皆さんを守る上で、とても重要な課題であり、今回の協定は、災害に強いまちづくりを進める上で、とても有意義なものです。
蕨市では、民間企業や団体などと連携する災害協定の締結を積極的に進めており、今回の協定で、56件となりましたが、今後も災害に強いまちづくりに取り組んでまいります。
市民会館の改修工事
9点目は、市民会館の改修工事について、ご報告申し上げます。
市民会館のコンクレレホールについては、イベント開催時の休憩中に女性用トイレが混雑し、長い列が生じることが、かねてより課題となっておりました。この状況を改善するとともに、災害時の避難所としてトイレ施設の充実を図るため、福祉棟102室を女性用のトイレとして整備を行い、5月3日より供用を開始いたしました。新たに整備した女性用トイレは、個室11室と手洗い5か所、パウダーカウンター2か所からなり、設備や機能の大幅な向上を図ることができました。また、コンクレレホールから階段を使わずに利用可能であり、高齢の方や障害のある方にとって、より利用しやすい環境となっています。今年度は、更に、コンクレレホールの舞台照明設備、舞台床、客席等のリニューアルを行うことになっており、令和8年1月中旬の着工に向けて準備を進めております。
今後につきましても、蕨市の芸術文化の拠点である市民会館について、施設の長寿命化を図りながら、市民会館の目的である市民文化の向上と福祉の増進に努めてまいります。
蕨市立病院の国民健康保険診療施設への位置づけ
10点目は、蕨市立病院の国民健康保険診療施設への位置づけについてご報告申し上げます。
市立病院を国民健康保険診療施設、いわゆる国保直診施設として位置づけることについては、病院の安定的な経営につながるものと考え、この間、検討を重ねてまいりましたが、国民健康保険運営協議会への説明や市立病院運営審議会での審議、4月18日から5月9日までの期間で実施したパブリック・コメントを経て、今議会に蕨市国民健康保険条例及び蕨市病院事業の設置等に関する条例の改正案を提出いたしました。
国保直診施設の位置づけをした場合、医療機器の整備や電子カルテの導入、施設の整備などに対し、国の助成が受けられるメリットがある一方で、地方公営企業としての自治体病院運営や医療機能はこれまでと変わらず、引き続き急性期医療を担い、国保加入者に限らず、市内外のどなたでも受診ができ、病院の名称変更も必要ありません。
また、国保直診施設では地域包括医療・ケアへの取り組みを推進していますが、市立病院ではこれまでも、特定健診をはじめとした保健事業や地域包括ケアに積極的に取り組んできており、その方向性も合致するものと考えています。
全国的に病院経営が厳しさを増しておりますが、市民の命と健康を守る拠点である市立病院が、安定的な運営を継続できるよう、引き続き、様々な対策を講じながら取組んでまいります。
以上、簡単ですが、令和7年第3回蕨市議会定例会における市長報告といたします。
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