市長の施政方針表明(令和3年3月定例会)

ページ番号1007263  更新日 令和3年2月19日

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はじめに

 本日、ここに、令和3年第1回蕨市議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位には、公私とも大変お忙しい中、ご参集を賜り、厚くお礼を申し上げます。今定例会は、令和3年度の当初予算をはじめとする重要な案件をご審議いただくことになりますが、この際、私がこれからの市政運営に臨む基本的な考え方や新年度予算の編成方針、更には予算の概要と主な事業について申し上げ、議員各位並びに市民の皆さんのご理解とご協力をお願いする次第であります。

世界的なコロナ禍~激動する時代のなかでの自治体としての責務

 はじめに、未曽有の被害をもたらした東日本大震災から、間もなく10年を迎えようとしています。改めて、この震災で犠牲となられた多くの方々に深く追悼の意を表するとともに、全ての被災者の皆様に心からのお見舞い申し上げます。また、先日、東日本大震災の余震と思われる最大震度6強を観測する地震が東北地方を中心に発生しましたが、重ねてお見舞い申し上げます。今後も、この震災の教訓を忘れず、被災地の更なる復興を心よりご祈念いたします。
 さて、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大、パンデミックは、私たちの日常を一変させることとなりました。世界の感染者数は1億1千万人を超え、死者数も240万人を超えるなど、さらに感染拡大が続いています。日本においても、2度にわたり緊急事態宣言が発出され、外出自粛や飲食店の営業時間の短縮、イベントの中止や縮小など、これまで、当たり前であった人と人との触れ合い、団らんの場が感染拡大防止のために制約され、私たちの日常は大きく変わりました。そして、市民生活や地域経済、医療や教育、福祉、文化、スポーツなど多方面にわたり、深刻な影響を及ぼしています。
 こうした中、蕨市では、特別定額給付金をはじめとする国の対策に迅速に取り組むとともに、第1弾から第5弾まで、5回にわたり、市独自の新型コロナ緊急対策をとりまとめ、ひとり親家庭への独自の給付金や水道基本料金4か月分の無料化、厳しい状況にある小規模企業者に対する2回にわたる応援金、更には、オンライン学習も見据えた児童生徒1人1台のパソコン整備の前倒しやアーティスト動画配信プロジェクト、市立病院の検査・医療体制の拡充など、新型コロナから、市民の健康と暮らし、市内事業所の営業を守るため、全力を尽くしてまいりました。
 ワクチン接種についても、1月12日には庁内に14名からなるプロジェクトチームを立ち上げ、急ピッチで作業を進めているところです。
 現在、1カ月延長された2度目の緊急事態宣言の最中にあり、市民の皆さんのご協力により、感染はピーク時より減少してきていますが、いまだ新型コロナの収束は見通せず、その影響は、長期化し、引き続き、大変厳しいものがあります。

 「世界は苦しみで溢れているが、それに打ち勝つことでも溢れている。」

 これは、三重苦を乗り越え、世界中の人に希望を届けたヘレン・ケラーの言葉でありますが、実際、私たち人類は、これまでの歴史のなかで、ペストをはじめとする感染症の危機に何度も直面しながら、それを乗り越え、社会を発展させてきました。今回のコロナ禍も、経済のグローバル化や様々な形での社会の分断が進む現代にあって、改めて、身近な存在である市町村が、暮らしを支える上で、いかに重要な役割を担っているのか、人と人とのつながりが、充実した人生を送る上で、いかに大切であるのか、を鮮明にしたのではないでしょうか。
 私は、市長就任以来、暮らしを支え、心が通い合う「日本一のあったか市政」を掲げてきましたが、コロナの影響で市民の皆さんが厳しい状況にある中だからこそ、「あったか市政」の真価を発揮する時であり、蕨の豊かなコミュニティ力を生かして、必ずや、コロナ禍を乗り越え、住みよいまちづくりを更に前進させることが出来るものと確信しています。
 そこで、新年度は、「コロナ禍を乗り越え、未来への飛躍へ」をテーマとして、市長を先頭に市職員が一丸となって、豊かな日常を取り戻し、7万6000市民の幸せのために全力を尽くしていく決意であります。

コロナ禍を乗り越え、未来への飛躍に向かう令和3年度の重点課題

 令和3年度の市政運営については、以上のような基本姿勢に基づき、第1に、引き続き、新型コロナ対策に全力を尽くすとともに、第2に、将来ビジョンや「あったか市政」第2ステージのマニフェストを着実に推進する、この2つを重点課題に位置付け、住み心地ナンバー1と言える蕨のまちづくりを推進していく考えです。

 市民の健康と暮らし、事業所の営業を守る新型コロナ対策

 初めに、1つ目の重点課題である「新型コロナ対策」についてですが、先日発表した蕨市新型コロナ緊急対策第5弾を着実に推進してまいります。
 第1の柱である「更なる検査・医療体制の充実強化」では、重症化リスクの高い高齢者や障害者が入居する全ての施設従事者を対象としたPCR検査について、現在、1回目を実施しているところです。また、市立病院においては、人工透析室への陰圧ブースの整備を進めていますが、引き続き、発熱者への対応や検査、コロナ患者の受け入れなど、新型コロナ対応に全力をあげてまいります。
 第2の柱である生活支援・経済対策では、フードパントリーについて、社会福祉協議会を中心に、民間企業のご協力もいただきながら、今月25日に1回目を、来月25日に2回目を実施することとなりました。また、全ての市民の皆さんに1人3000円の電子商品券を支給する蕨市電子商品券支給事業については、家計への支援と市内経済の活性化につながる事業として、7月の実施に向けて取り組みを進めてまいります。
 第3の柱であるワクチン接種体制の確立については、この間、プロジェクトチームを中心に、医療機関との調整などを進めてきましたが、接種体制や実施方法については、次の通りとすることといたしました。まず、医療従事者へのワクチン接種については、埼玉県が対象者を取りまとめ、3月より、市立病院で実施する予定です。続いて、65歳以上の高齢者の皆さんへの接種については、4月以降、15か所の市内医療機関での個別接種と保健センターを会場とする集団接種を併用する形で実施し、3か月以内の完了を目指します。その後、高齢者施設等の従事者や基礎疾患のある方、更には、一般市民を対象に、順次、接種を行ってまいります。
 当面は、3月下旬に、集団接種の予約や相談業務を行うコールセンターを設置するとともに、高齢者の皆さんにワクチン接種券を発送する予定です。いずれにしても、これまで経験したことがない大事業となりますが、ワクチン接種は、新型コロナ収束への決め手として期待されるものであり、全庁的な体制で進めてまいります。

 将来ビジョン、マニフェストに基づく重点事業

 続いて、2つ目の重点課題である、「将来ビジョンとマニフェストの推進」についてです。ここでは、防災や環境、教育、技術革新など17の目標を掲げるSDGs(エスディージーズ)に向けた潮流の高まりなど、時代の変化に対応した3つの重点事業と未来への3大プロジェクトを力強く進めてまいります。

 1 時代の変化に対応した3つの重点事業

 (1) 防災・環境のまちづくり

 まず、時代の変化に対応した3つの重点事業でありますが、1つ目は、「防災・環境のまちづくり」です。地球温暖化の影響も含めて、近年、全国各地で多発する災害への備えやカーボンニュートラルなど環境対策の重要性はますます高まっていることから、更なる防災都市づくりと地球環境にやさしいまちづくりを進めてまいります。
 まず第1は、デジタル化した防災行政無線の本格的な運用による防災都市づくりの推進です。新たに設置した高性能スピーカーにより、より広範囲の市民の皆さんに情報をお届けするとともに、希望者には、放送内容を電話やファクス、多言語化したメールで提供する一斉情報伝達サービスを導入するなど、災害対応の要とも言える、災害情報の迅速かつ確実な提供を行ってまいります。
 第2に、災害に強い都市基盤づくりに向けた橋りょうの改修事業の推進です。蕨市では、これまで、老朽化した社会インフラの改修に力を入れてきましたが、新年度は、3年度からの4か年計画で塚越陸橋の改修及び耐震化に着手するほか、蕨跨線人道橋の耐震診断、市内59橋を対象とした2巡目の橋りょう点検を実施するなど、橋りょうの改修を重点的に進めてまいります。
 第3に、道路照明灯及び公園灯のLED化による環境にやさしいまちづくりの推進です。合わせて約1300基ある道路照明灯と公園灯について、10年間のリース方式により、一気にLED化することで、大幅な電気料の削減やCO2排出の抑制を図るとともに、適切な維持管理につなげてまいります。

 (2) 子育て・教育のまちづくり

 重点事業の2つ目は、「子育て・教育のまちづくり」であります。
 蕨にとって、子ども達は、まちの未来そのものであり、少子高齢社会のなかでの「選ばれるまち」に向けて、更なる子育て支援・教育の充実を進めてまいります。
 第1は、こども医療費無料化の拡大に向けた取り組みです。蕨市では、県南地域でいち早く中学卒業までの医療費無料化を実施し、それが現在では子育て支援のスタンダードとして定着するなど、子育てしやすいまちづくりをリードしてきました。新年度は、これをさらに一歩進め、特に経済的負担の大きい入院について、令和4年10月から対象年齢を18歳までに拡大するため、対応するシステムの修正を行います。
 第2は、小中学校体育館へのエアコン整備です。これは、子ども達を猛暑から守るとともに、災害時における避難所としての機能を高めるもので、新年度は、中学校3校の体育館へのエアコン整備工事を実施するとともに、小学校2校の設計を行ってまいります。
 第3は、時代の変化に対応した教育の充実です。まず、今年度整備が完了した児童生徒1人1台のパソコンを活用し、新年度には、高い専門的スキルを持ったICT支援員を配置し、教員への研修や授業のサポートを行うなど、ICT教育を本格化させます。次に、英語教育について、これまでも、1校1名のALT配置など充実に努めてきましたが、新年度は、生徒一人一人の英語活用能力の更なる向上を図るため、中学校2・3年生を対象に、「読む」「聞く」「書く」「話す」の英語4技能テストやパソコンを活用した英語学習を組み合わせたGTECを実施してまいります。

 (3) デジタル化の更なる推進

 重点事業の3つ目は、「デジタル化の更なる推進」です。蕨市では、これまで、4次にわたる情報化総合推進計画に基づき、情報化への対応を進めてきましたが、国において、本年9月にデジタル庁の設置が予定されるなどデジタル化の動きが加速化する中で、社会全体のDX、デジタル・トランスフォーメーションに対応し、更なる行政のデジタル化や市民サービスの向上を進めてまいります。
 第1は、デジタル化推進担当の設置です。今後、設置されるデジタル庁においては、地方共通のデジタル基盤の整備が推進されることから、国や県と連携した取り組みを進めるとともに、今後予定される新庁舎の整備や駅西口再開発事業での公共公益施設の整備に合わせて、来庁者へのサービスや内部業務におけるデジタル化を進めてまいります。
 第2は、税の納付等における電子決済の導入です。税金や水道料金、下水道使用料等の支払いにPayPayやLINEPayなどのスマホ決済サービスを導入するとともに、市立病院での支払いにクレジット決済を導入してまいります。
 第3は、まちづくりにおけるデジタル技術の活用です。蕨市では、今年度、スマホ決済を活用した経済対策や児童生徒1人1台のパソコン整備などを進めてまいりましたが、新年度においては、電子商品券支給事業や子育てAIとオンライン相談を活用した産後うつ予防等の実証実験などデジタル技術を活用した事業を推進してまいります。

 2 蕨の未来に向けた3大プロジェクトの推進

 続いて、蕨の未来に向けた3大プロジェクトについて、申し上げます。

 (1) 超高齢社会に対応したまちづくり

 1つ目の「超高齢社会に対応したまちづくり」では、第1に、地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みの推進です。その要となる地域包括支援センターについて、4月から、新たに塚越地区に開設し、3か所体制で、専門家による相談事業や権利擁護の取り組み、介護予防事業など、高齢者の皆さんに対する、より充実した支援を進めてまいります。
 第2に、将来構想に基づく市立病院の充実に向けた取り組みです。市立病院では、この間、救急医療をはじめ、地域医療を支える中核病院としての役割を果たすとともに、新型コロナの対応においても、公的医療機関として重要な役割を担ってきました。新年度においても、引き続き、ワクチン接種や新型コロナ対応を含めて、市民の健康を守るために全力をあげるとともに、地域医療構想の動向にも注視しつつ、建て替えを含む市立病院の耐震化と老朽化対策について、更なる検討を深め、その方向性を見定めてまいります。

 (2) 蕨の玄関口にふさわしい駅前再開発の推進

 2つ目の「蕨の玄関口にふさわしい駅前再開発の推進」では、昨年8月に埼玉県から本組合設立認可を受け、事業の推進に向けて大きな節目を迎えることができました。
 新年度でありますが、現在、事業推進の母体となる再開発組合により、権利者の意向を確認し、調整を図りながら権利変換計画の作成が進められており、今後、権利変換計画の認可を取得し、早期の工事着手を目指してまいります。また、公共公益施設については、「豊かなときを創るほっとプレイス」を基本コンセプトに、行政センターと図書館の実施設計を進めており、図書館については、多様で充実した閲覧・学習ゾーンとともに、自動貸し出し装置の導入やWi-Fi環境、カフェや集会室機能の整備など、駅前の利便性を生かした魅力的な知の空間を創出していきたいと考えています。

 (3) 市民サービスと災害対応の拠点となる市役所の建替え

 3つ目の「市民サービスと災害対応の拠点となる市役所の建替え」では、このほど、実施設計の概要を策定したことから、広報蕨などを通じて、市民の皆さんに新庁舎のイメージをお伝えしていくとともに、現在進めている旧庁舎の解体工事については、6月中に工事を終える予定であります。
 新年度は、令和5年秋の開庁に向け、いよいよ新庁舎建設工事に着手しますが、引き続き、「-歴史・文化を活かし『未来の蕨』を創造-人と環境にやさしく、市民に親しまれ、安全でコンパクトな庁舎」という基本理念の下に、取り組みを進めてまいります。

令和3年度蕨市予算概要

 それでは、令和3年度蕨市一般会計予算の概要について申し上げます。
 歳入においては、新型コロナの影響等により、歳入の根幹をなす市税収入を前年度比6億9,000万円減の109億3,000万円、地方交付税は2億4,000万円増の13億8,000万円、国庫支出金は約2億9,600万円増の約53億2,900万円と見込んだほか、繰入金は約1億8,200万円増の約11億700万円、市債は約19億300万円増の約40億9,300万円と見込みました。
 一方、歳出においては、新庁舎建設費用や市民公園複合遊具改修工事、塚越陸橋の耐震補強工事委託などの建設関連予算、民間留守家庭児童指導室の増設や子ども家庭総合支援拠点の設置などによる子育て関連予算の増額のほか、新型コロナウイルスワクチン接種事業の費用やICT教育支援費用などを計上し、予算総額は前年度比6.7%増で、過去最大となる277億3,000万円となりました。
 特別会計は、国民健康保険や錦町土地区画整理事業など5つの会計からなり、その総額は148億9,400万円、病院、水道、下水道の企業会計合計額は、62億5,784万4,000円で、以上の全会計を合わせた蕨市全体の予算規模は、488億8,184万4,000円となりました。

将来ビジョン6つの柱と推進プランⅡに沿った主な施策

 次に、将来ビジョンに掲げるまちづくりの6つの基本目標及び将来ビジョン推進プランⅡに沿った行財政運営の主な施策について申し上げます。

(1)安全で安心して暮らせるまち

 1点目の「安全で安心して暮らせるまち」では、消防・救急体制の整備として、大変有難いことに、昨年、市民の方から3,200万円の指定寄付をいただいたことから、これを活用し、高規格救急自動車を更に1台整備するとともに、聴覚・言語機能に障害がある方が携帯端末を使用し、音声によらない通報を可能とするNET119緊急通報システムを導入します。
 また、防犯対策として、高齢者の振り込め詐欺被害の防止などのために実施してきた通話録音装置の無償貸与事業を電話機設置補助事業に組み替え、より防犯機能が充実した通話録音機能を有する電話機の購入補助を行ってまいります。
 更には、国土強靭化基本法に基づき、「国土強靭化地域計画」を策定し、災害に強く、安全で安心して暮らせるまちづくりを進めてまいります。

(2)豊かな個性を育み子どもたちの未来輝くまち

 2点目の「豊かな個性を育み子どもたちの未来輝くまち」では、4月から、新たに、子ども家庭支援員や虐待対応専門員などの専門職を配置した「子ども家庭総合支援拠点」を児童福祉課内に設置し、これまでの家庭児童相談室の機能も含め、全ての児童とその家庭及び妊産婦からの総合的な相談対応や支援を充実させるとともに、児童虐待防止への対応を強化してまいります。
 更に、留守家庭児童指導室について、4月から民間施設「(仮称)キッズクラブ北町」が開室し、これにより民間施設を含む留守家庭児童指導室は19室となり、定員数は、685人から725人に拡充されます。
 教育では、新年度においても、スクール・サポートスタッフを各校に1名配置するとともに、家庭との連絡、連携機能の強化や緊急時における児童生徒の安全管理面での機能向上のため、クラウド型の保護者連絡システムを導入します。更には、学校給食センターの長寿命化に向けて、洗浄室・調理室の換気設備更新に向けた設計を行います。

(3)みんなにあたたかく健康に生活できるまち

 3点目の「みんなにあたたかく健康に生活できるまち」では、障害者福祉について、本議会に上程する運びとなった手話言語条例に基づき、手話が言語であることの理解と手話の普及をより一層進めていくためにパンフレットを作成するほか、新たに、レスパイトケア事業補助を開始し、医療的ケアが必要な超重症心身障害児についてショートステイなどの施設の受け入れ体制の充実を図り、介助する家族の精神的、身体的負担の軽減に努めます。
 また、健康づくりにおいては、聴覚障害の早期発見、早期療育を目的として、新生児聴覚スクリーニング検査費助成を開始するとともに、特定保健指導事業を民間委託し、勧奨方法や実施方法の拡大による利便性の向上などにより、実施率の向上を図ります。

(4)にぎわいと活力、市民文化と歴史がとけあう元気なまち

 4点目の「にぎわいと活力、市民文化と歴史がとけあう元気なまち」では、中心市街地の活性化に向けて、蕨市中心市街地活性化基本計画の計画期間を更に1年延長し、各種事業を引き続き推進するとともに、商工会議所等と連携し、中心市街地活性化新プランの策定に取り組みます。
 また、東京2020オリンピック・パラリンピック関連事業として、オリンピックの聖火リレーの実施にあたり、中仙道蕨宿の風情を生かした沿道の演出に取り組むほか、未来を担う子どもたちの心のレガシーとなるよう、学校連携観戦チケットを活用したバスケットボールやサッカー観戦を予定しています。
 そして、女子サッカーを題材とした人気漫画「さよなら私のクラマー」のテレビアニメ化がこの4月から、さらに初夏には映画の公開が予定されていますが、主人公の通う学校や街並みなど、蕨を舞台とした作品となっていることから、制作委員会と連携し、各種イベントとタイアップした取り組みや女子プロサッカーリーグの協力のもとスポーツ教室を実施するなど、蕨のPRも含めて盛り上げていきたいと考えています。

(5)快適で過ごしやすく環境にやさしいまち

 5点目の「快適で過ごしやすく環境にやさしいまち」では、公園等整備事業で、子ども達に大人気の市民公園の大型複合遊具について、市民参加のワークショップでのご意見を踏まえた設計に基づく改修工事を行い、いよいよこの秋にリニューアルとなる予定です。
 錦町土地区画整理事業については、令和2年度の国の第3次補正予算も活用し、新年度には、繰越明許費分10棟と合わせて32棟の家屋移転を計画しており、着実な推進を図ってまいります。

(6)一人ひとりの心でつなぐ笑顔あふれるまち

 6点目の「一人ひとりの心でつなぐ笑顔あふれるまち」では、多文化共生のまちづくりに向けて、昨年7月に市民懇談会を立ち上げるとともに、在住外国人の皆さんを含めた意識調査を実施するなど検討を進めてまいりましたが、新年度は、お寄せいただいたご意見を盛り込みながら、多文化共生指針を策定してまいります。
 多様な主体との協働によるまちづくりでは、協働提案事業において、新型コロナ対策をテーマとして、幼児を持つ保護者への心のケアや中高年の引きこもりの予防など、5つの新たな事業を採択し、コロナ禍で実施できなかった令和2年度分の5事業と合わせて10事業を実施するとともに、京都大学COI拠点研究推進機構とほっこりーのプラスとの連携協定に基づき、福祉・児童センターを拠点に、子育てAIやオンラインによる遠隔相談を活用した産後うつ予防など、女性と子どもの心と体の健康サポートを行う実証実験を実施していく予定です。

持続可能な都市・蕨に向けた行財政運営

 続いて、将来ビジョン推進プランⅡに沿った行財政運営の取り組みについて申し上げます。
 これまで、市税等収納率向上対策本部を立ち上げ、納税コールセンターの設置など、歳入確保、収納率の向上を図ってまいりましたが、更なる収納対策の強化のため、埼玉県との共同プロジェクトチームに職員1名を派遣し、本市における個人市県民税の滞納整理を推進します。
 また、土地開発公社の経営健全化については、引き続き、第3次経営健全化計画に基づき、中央3丁目地内の約790平方メートルの土地の買戻しを行い、約12億1,900万円の借金削減を図ります。

結びに

 以上が、新年度の主な施策となります。現在、2度目の緊急事態宣言が発出されている中、市民の皆さん、事業所の皆さんには、何とか感染を抑えようと、不要不急の外出自粛や営業時間の短縮など、大変な努力をしていただいています。
 そして、当初、1月11日に予定していた蕨の成年式も、その対応が迫られることとなりました。私は、その中で、改めて、75年前、あの戦争の惨禍が残る中で、次代を担う若者たちに、「困難を乗り越えて、平和で素晴らしい社会をつくっていこう」と激励するため、全国に先がけて成年式を行った蕨の先人達に、思いを馳せずにはいられませんでした。
 今のコロナ禍も、私たちの暮らしに、そして、若い皆さんに、大変な困難をもたらしています。私は、そんな時だからこそ、ぜひ、発祥の地蕨として、新成人の皆さんに、コロナ禍を乗り越えて、新しい時代の担い手として頑張ってほしい、とのエールを送るとともに、ふるさと蕨での仲間と触れ合える機会を大切にしたい、との思いから、蕨の成年式については、中止やオンライン開催ではなく、ワクチン接種がある程度進むと見込まれる今年の秋への延期という判断をいたしました。

 「英知は苦難からもたらさる」

 これは、古代ギリシャの詩人、アイスキュロスの言葉ですが、ぜひ、新成人の皆さんには、世界的な試練とも言える今回のコロナ禍を乗り越え、あの経験があったから、その後の人生がより充実したものになったと言えるよう、奮起されることを期待しています。
 そして、「困難を乗り越える中で、発展を遂げていく」、それは、まちづくりも同様であります。私は市長として、市民の皆さんとともに、この難局を何としても克服し、その歩みの中で、地域での触れ合い、絆を更に深め、時には、困難も市政において新たな可能性を開く力に変えながら、蕨の未来への飛躍に繋げていく決意であります。
 市議会並びに市民の皆さんには、このような全国に誇れる蕨のまちづくりに、なおいっそうのお力添えをお寄せいただきますよう、心からお願いを申し上げ、令和3年度の施政方針表明といたします。ありがとうございました。

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