市長の施政方針表明(令和6年3月定例会)

ページ番号1010269  更新日 令和6年2月16日

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写真:施政方針を表明する市長
令和6年2月16日

はじめに

 本日、ここに、令和6年第1回蕨市議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位には、公私とも大変お忙しい中、ご参集を賜り、厚くお礼を申し上げます。今定例会は、令和6年度の当初予算をはじめとする重要な案件をご審議いただくことになりますが、この際、私がこれからの市政運営に臨む基本的な考え方や新年度予算の編成方針、更には予算の概要と主な事業について申し上げ、議員各位並びに市民の皆さんのご理解とご協力をお願いする次第であります。

能登半島地震について

 はじめに、元日に発生した能登半島地震では、240名を超える尊い命が失われ、住宅被害は約9万棟にのぼるなど、甚大な被害が発生いたしました。改めまして、亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げます。被災地では、今なお、広範囲で断水が続き、約1万3000人もの方々が厳しい避難生活を余儀なくされており、一日も早い復旧復興を願っています。
 蕨市では、被災者支援に向け、1月4日から公共施設に義援金箱を設置するとともに、蕨駅の東西口で街頭募金も実施しましたが、昨日までに、287万7147円もの義援金が寄せられました。義援金は、その全てを、日本赤十字社を通じて、被災地へと送らせていただきましたが、改めて、ご協力いただいた皆さんに感謝申し上げます。また、1月8日から市職員1名を被災地の石川県七尾市に派遣し、避難所運営の支援にあたるとともに、2月19日から、新たに1名を派遣する予定ですが、引き続き、市として、被災地支援に取り組んでまいります。

先行き不透明感強まる日本の社会経済

 さて、昨年は新型コロナも5類に移行となり、日本国内において、社会経済活動が正常化しつつあるとともに、蕨市内でも、町会の盆踊りや秋まつりなどが4年ぶりに開催されるなど、にぎわいあるまちの姿が戻ってきており、大変うれしく思います。
 一方で、一昨年からの急激な物価高騰により、実質賃金は、2年連続の低下となり、市民生活にとって厳しい状況が続いています。また、失われた30年とも言われる経済の低迷が続く中で、少子高齢化や人口減少が本格的に進みつつあり、今後、労働力不足や経済の更なる停滞、医療介護体制の不足が懸念されるなど、日本は大きな課題を抱えています。本来は、そうした困難を乗り越えていく大切な時期にもかかわらず、政治とカネをめぐる問題や相次ぐ企業の不正事件などにより社会への信頼が揺らぎ、先行きが見えない不安が広がっています。しかし、このような時代だからこそ、市民の生活に最も身近な基礎自治体として、市民の皆さんに寄り添い、暮らしの安心や未来への希望につながるまちづくりが、ますます求められています。

市民からの願い、信頼に応えてきた「あったか市政」

「過去には感謝を、現在には信頼を、未来には希望を」
 この言葉は、ドイツの教育哲学者で、日本の教育学の発展や日独文化交流にも大きく寄与したオットー・ボルノウの言葉です。「希望の哲学」で知られるボルノウの言葉には、人間の生きる根源に未来への「希望」があり、そこには、過去への「感謝」と現在への「信頼」が重要だという思いが込められています。
 私たちのまち蕨は、中山道の宿場町や機織りのまちとして発展し、全国に先駆けて成年式を開催するなど、全国に誇れる素晴らしい歴史と伝統、豊かなコミュニティがあります。私も、この間、蕨市市制施行50周年や、中山道蕨宿開設400年、和楽備神社合祀100年、蕨駅開業120年など、多くの歴史的な節目を経験してきましたが、改めて、蕨の素晴らしい歴史が、今の住み良い蕨のまちづくりに息づいていることを実感し、先達たちへの感謝の思いを募らせてきました。
 また、私自身、市長就任以来、「日本一のあったか市政」を掲げ、防災対策や子育て支援・教育、介護や健康づくりの充実など、お約束したマニフェストの実現に全力をあげるとともに、市民の皆さんとの直接の対話・触れ合いを原点にしつつ、何よりも、市民の皆さんの信頼を大切にしてきました。
 昨年6月には、市長として5期目の市政運営をスタートすることができましたが、この間も、織りなすクーポン第2弾など、物価高騰から市民生活と地域経済を守るため、全力をあげるとともに、学校体育館へのエアコン設置や多機能型地域子育て支援センターの開設、犯罪被害者支援条例の制定、パートナーシップ制度の創設など、新たなマニフェストを着実に進めてきました。更には、市民サービスと災害対応の拠点となる新庁舎の完成や蕨駅西口再開発の着工、蕨市立病院の建替えに向けた取り組みなど、未来への飛躍に向けた大きな一歩を踏み出すことができました。
 同時に、市財政の健全化についても、市税の収納率向上などによる自主財源の確保や国・県の補助金の積極的な活用、土地開発公社の経営健全化などを進め、令和4年度末には、市長就任時と比較して、市の借金は、363億円から290億円へ73億円削減し、市の貯金にあたる基金は、37億円から104億円へ67億円増加し、合わせて140億円、市財政を改善することができました。
 私は、先行き不透明な今の時代だからこそ、市民と心が通い合い、暮らしを支える「あったか市政」が強く求められていると考えており、これからも、市民の皆さんの信頼を大切にしながら、未来への希望ある市政を進めていく決意であります。

「安心・にぎわい・未来 ~ 蕨、飛躍の10年へ」

 さて、令和6年度は、蕨市の新しい10年計画である「コンパクトシティ蕨」将来ビジョンⅡのスタートの年となります。将来ビジョンの核となる蕨市将来構想については、先の12月市議会でご議決いただきましたが、将来のまちのビジョンを「安心・にぎわい・未来 みんなで創る みんなにあたたかい みんなのまち蕨」といたしました。基本計画案については、現在、年度内の策定に向けて、パブリックコメントを実施しているところですが、私は、これからを、市民の皆さんが安全で安心して住み続けられるとともに、蕨らしさを生かし、まちの活力にあふれ、未来を担う子どもたちが輝く、そんな「選ばれる、成長する」蕨のまちづくりを加速化し、蕨が飛躍していく10年にしていきたいと考えています。
 そこで、新たな将来ビジョンのスタートとなる令和6年度予算は、「安心・にぎわい・未来~蕨、飛躍の10年へ」をテーマとして編成いたしました。

令和6年度の重点課題~将来ビジョンⅡ・重点プロジェクトの推進

 それでは、令和6年度の主な施策について、まずは、重点課題である将来ビジョンⅡに掲げる4つの重点プロジェクトについて、申し上げます。

(1)安全安心・エコシティ プロジェクト

 重点プロジェクトの1つ目は、「安全安心・エコシティ プロジェクト」です。ここでは、防災対策や防犯対策、環境問題への取り組みなど3つの事業に取り組みます。
 第1は、「防災都市づくりの加速化」です。蕨市では、水道の主要な管路である基幹管路の耐震化に力を入れ、耐震化率は、既に99.4%に達していますが、新年度は、基幹管路に続き、避難所や病院などへの重要施設配水管の耐震化を更に進め、耐震化率は95%となる見込みです。また、水害対策の強化のため、土のうステーションを7か所から12か所に増設するほか、消防団に、救助用ボート2艇を配備します。更に、JRをまたぐ橋りょうの長寿命化・耐震化を推進し、引き続き、塚越陸橋や蕨跨線人道橋の修繕工事を行います。
 第2に、「防犯対策の更なる強化」です。まず、街なか防犯カメラを60基増設し、合計で200基とするとともに、家庭用防犯カメラ設置費への補助制度を新たに創設し、個人宅には2万円、共同住宅は10万円を上限に補助します。
 第3に、「脱炭素社会の実現に向けた取り組み」です。第3次蕨市環境基本計画に基づき、再エネ・省エネの加速化に向けて、昨年拡充した、太陽光発電や蓄電池などへの補助制度の積極的な活用を推進するとともに、ふれあい交流協定を締結している群馬県片品村と連携し、新たに「(仮称)片品・蕨の森」として片品村の森林整備を支援し、CO2の削減に取り組む「カーボン・オフセット」事業や子どもたちを対象とした環境学習を実施します。また、家庭などで気軽に緑を増やせる「プランターファームinわらび」について、市内の農家の皆さんなどが育成した苗木、プランターキットの配布や各ご家庭などのプランターファームの写真を募るフォトコンテストを実施します。そして、新年度の早い時期に、「ゼロ・カーボンシティ宣言」を行いたいと考えています。

(2)子どもの元気・未来創造シティ プロジェクト

 重点プロジェクトの2つ目は、「子どもの元気・未来創造シティ プロジェクト」です。ここでは、蕨の未来を担う子ども達のために、子育てや教育の充実など、3つの事業に取り組みます。
 まず、第1は、「子育て支援の更なる充実」です。私は、市長就任以来、子育て支援の充実に思い切って力を入れ、県南をリードする取り組みを進めてまいりましたが、4月から、県南地域でいち早く、18歳、高校卒業までの医療費完全無料化を実施するとともに、2人目以降の学校給食費の無償化を実施します。また、引き続き、物価高騰に伴う学校給食費の負担軽減を継続するとともに、ひとり親世帯や低所得世帯に、大学の受験料や高校生、中学生の模擬試験の受験料への補助を行い、子どもの学習支援を進めます。
 第2に、「快適な教育環境の整備」です。近年の猛暑に対応し、引き続き、学校体育館へのエアコン設置を進め、新年度は、西小学校、中央東小学校、塚越小学校で設置工事を行い、これで市内全ての小中学校での整備が完了いたします。また、学校トイレの改修を加速化し、今後4年間で、全ての学校トイレの洋式化などを実施するため、新年度は、東小学校、南小学校、中央小学校のトイレ改修のための設計委託を行います。
 第3に、「子どもたちが安心して暮らせる環境づくり」です。蕨市ヤングケアラー支援条例を制定し、過度な家事などの負担によりヤングケアラーと言われる状況にある子ども達が健やかに成長できるよう、関係機関が連携して、支援に取組みます。また、離婚したひとり親家庭の生活を支えるため、養育費確保のための支援制度を創設し、養育費の取り決めの公正証書の作成や養育費保証契約の負担費用の助成を行います。

(3)魅力と活力・にぎわいシティ プロジェクト

 重点プロジェクトの3つ目は、「魅力と活力・にぎわいシティ プロジェクト」です。ここでは、蕨の新たなにぎわいの創出に向けて、2つの事業に取り組みます。
 まず第1は、「蕨駅西口再開発事業の推進」です。この事業は、蕨の玄関口にふさわしく駅前広場を拡幅リニューアルするとともに、駅に直結する魅力的な商業施設、行政センターや図書館など公共公益施設、都市型高層住宅を整備するもので、蕨市が「選ばれるまち」として、未来への飛躍の核となる事業であります。昨年12月25日に起工式が行われ、1月9日に着工し、本格スタートいたしましたが、新年度も引き続き、再開発事業に対する補助金を計上するとともに、再開発組合に対する支援を行い、令和9年7月の完成を目指して、事業を推進してまいります。
 第2に、「にぎわい交流拠点の整備など中心市街地活性化の推進」です。蕨市役所の仮設庁舎跡地について、民間活力を活用して、中山道への新たな「にぎわい交流拠点」として整備するための計画づくりを進めていきます。
 また、今年度は、空き店舗有効活用事業により新たに5店舗の出店につながりましたが、新年度は、エリアリノベーション推進協議会を立ち上げ、サブリースなどの手法を用いた空き店舗対策を更に推進していきます。あわせて、新たな「中心市街地活性化プラン」の策定を行い、蕨駅西口再開発による新たなにぎわいを起爆剤としながら、中心市街地の活性化やまち全体の回遊性につなげていくまちづくりを進める考えです。

(4)みんなで笑顔・健幸シティ プロジェクト

 重点プロジェクトの4つ目は、「みんなで笑顔・健幸シティ プロジェクト」です。ここでは、みんなにあたたかく誰もが健康で住みやすいまちづくりを進めるため、2つの事業に取り組みます。
 第1に、「健康づくり・介護予防の充実」です。帯状疱疹ワクチン接種費用への助成制度を創設し、生ワクチンは、4000円を1回、不活化ワクチンは1万円を2回、上限に補助を行うとともに、高齢者の補聴器購入費への助成制度を創設し、4万円を上限に補助します。更に、誰もが健康で幸せを実感できるスマートウェルネスシティの推進に向け、新年度から始まる第3次健康アップ計画に基づき、リニューアルしたコバトンALKOO(あるこう)マイレージを活用したウォーキングへの取り組みを更に推進するとともに、私自身、スマートウェルネスシティ首長研究会に加盟し、他の自治体との連携を強めていきます。また、いきいき百歳体操の更なる充実に向け、実施団体への補助金制度を設けるほか、公民館でのフレイル予防教室に加え、昨年、協定を締結した東京医科大学と連携して、認知症などの健康講座を開催するなど、介護予防、認知症対策を充実させていきます。
 第2は、「市立病院の建替え」についてです。市立病院は、地域の救急医療を担うとともに、この間のコロナ対応でも大きな役割を果たしてきましたが、施設の耐震化、老朽化対策が大きな課題となってきました。そこで、検討委員会での検討を進め、昨年1月には、市立病院の建替えを決定するとともに、引き続き、建替え手法の検討を進め、11月には、西公民館・松原会館を含む一体的敷地への移転建替え方針案をお示しさせていただきました。現在、この方針案について、蕨市立病院整備検討審議会でご審議いただくとともに、市内5地区で市民説明会を開催するなど、建替え整備に向けた取り組みを進めています。また、市立病院建設基金に10億円を積み立て、20億円とする補正予算案を今議会に提出させていただきました。
 今後、市立病院の建替え方針について、審議会でのご審議を経て、今年度末までに決定するとともに、新年度は、新病院の目指す姿や診療機能などをまとめた、基本構想・基本計画について、引き続き、審議会でご審議いただき、6年度末までに策定していきたいと考えています。市立病院の建替え・充実は、少子高齢化、人口減少社会が進む中、また、大規模災害の懸念が高まる中、蕨市が、これからも、災害に強く、安心して住み続けられる、選ばれるまちとして発展していく上で、大変重要な課題であり、今後も、市議会並びに市民の皆さんのご理解をいただきながら、着実に進めていきたいと考えています。

令和6年度蕨市予算概要

 それでは、令和6年度蕨市一般会計予算の概要について申し上げます。
 歳入においては、国の定額減税の影響などにより、歳入の根幹をなす市税収入を前年度比2億3,000万円減の115億2,000万円、地方交付税は4億6,000万円増の23億3,000万円と見込んだほか、国庫支出金は、再開発事業補助金の増などにより、約6億2,800万円増の約60億7,900万円、繰入金は約6億5,100万円減の約15億4,000万円、市債は約3億3,100万円減の約8億2,400万円と見込みました。
 一方、歳出においては、駅西口再開発事業や橋りょう改修事業などの建設関連予算、18歳までのこども医療費完全無料化や学校給食費の負担軽減などの子育て関連予算のほか、にぎわい交流拠点整備支援費用などを計上し、予算総額は前年度比1.8%増の282億円となりました。これは、蕨市で過去最大の予算規模であります。
 特別会計は、国民健康保険や錦町土地区画整理事業など5つの会計からなり、その総額は158億1,600万円、病院、水道、下水道の企業会計合計額は、62億623万9,000円で、以上の全会計を合わせた蕨市全体の予算規模は、502億2,223万9,000円となりました。

将来ビジョンⅡの7つの柱に沿った主な施策

 次に、将来ビジョンⅡに掲げる、まちづくりの目指す姿を分野別に示した7つの柱の主な施策について申し上げます。

(1)安全で安心して暮らせるまち

 1点目の「安全で安心して暮らせるまち」では、防災行政無線の更なる改善に向け、わらびりんご公園、三和稲荷公園、あづま公園、金山公園の4か所に増設するとともに、努力義務化された自転車用ヘルメットの着用促進のため、購入費に対する補助の予算を増額します。また、振り込め詐欺の防止に有効とされる通話録音機能付き電話機を高齢者が購入する際に2万円を上限に補助するための予算を増額し、更に広げていきます。
 また、消防団第6分団の消防ポンプ自動車を更新するほか、消防本部庁舎の仮眠室について、感染対策の強化や職務環境の改善のため、個室化改修工事の設計を行います。

(2)豊かな個性を育み子どもたちの未来輝くまち

 2点目の「豊かな個性を育み子どもたちの未来輝くまち」では、令和7年度から5か年計画となる「こども計画」の策定を進めるとともに、学童保育室について、ニーズの増大に対応して錦町地区に1か所増やすほか、4年度にスタートした産後ケア事業について、これまで、訪問型、通所型、そして、短期入所型と拡充してきましたが、更に実施施設を増やすなど、充実させていきます。また、国の制度改正にあわせて、児童手当・児童扶養手当の拡充を行います。
 子どもたちの学びについても、ICT教育推進のため、第一中学校に続き、第二中学校のDXルームの整備や就学援助の対象世帯にオンライン学習通信費の支給を行うほか、タブレットの一部更新について、予備機を含め約750台を整備します。更に、民間施設を活用した水泳授業を西小学校に加えて東小学校でも実施するほか、今年度から実証事業をスタートした部活動の地域移行について、陸上・剣道・柔道を対象に継続し、更なる検討を進めます。

(3)みんなにあたたかく健康に生活できるまち

 3点目の「みんなにあたたかく健康に生活できるまち」では、障害のある方への支援として、精神障害者保健福祉手帳1級をお持ちの方への福祉タクシー利用券の交付を行うとともに、地域生活支援拠点等の整備に向け、基幹相談支援センターであるドリーマ松原にコーディネーターを配置し、障害のある方やその家族が安心して生活できる地域体制の構築を図ります。
 また、新型コロナワクチンの接種については、今年度末までは、生後6か月以上の希望する方を対象に、無料での接種を行ってまいりましたが、新年度からは、国の方針に基づき、「定期接種」として、原則、接種費用の一部を自己負担いただく形で、65歳以上の高齢者などを対象に実施していくことになります。
 更に、地域共生社会の実現に向けて、市や関係機関、住民が一体となって、地域での生活課題に対応する包括的な支援体制の更なる整備を図ることを目的に、令和5年度から策定作業を進めてきた地域福祉計画について、6年度末までに策定します。

(4)にぎわいと活力、市民文化と歴史がとけあう元気なまち

 4点目の「にぎわいと活力、市民文化と歴史がとけあう元気なまち」では、楽しく、活気のあるまちに向け、観光協会の体制強化を図るとともに、引き続き、アニメ「さよなら私のクラマー」やWEリーグと連携して、女子サッカー教室の開催やちふれASエルフェン埼玉との交流事業など、女子サッカーを応援するまちづくりを広げてまいります。
 また、信濃わらび山荘の廃止に伴う代替事業として、新たに、ふれあい交流協定を結ぶ群馬県片品村と栃木県大田原市に宿泊する市民を対象に1人1泊1500円を2泊を上限に助成するとともに、片品村での環境教育や大田原市での農家宿泊体験など、自然体験ツアーの実施や市内青少年団体への野外活動奨励費を1人一泊1500円に増額します。
 更に、市民会館について、コンクレレホールの舞台照明設備等の改修工事の設計を行うとともに、大ホール利用時のトイレ不足の解消や災害時の避難場所としてのトイレ整備の充実を図るため、福祉棟102(いちまるに)室をトイレとして改修します。

(5)環境にやさしく快適で過ごしやすいまち

 5点目の「環境にやさしく、快適で過ごしやすいまち」では、令和6年度も引き続き、老朽化した道路や大木化した樹木等への集中的な対応を実施いたします。また、公園整備については、錦町地区街区公園整備基本構想に基づき、自然とのふれあいやプレーパークなどの特色を想定した錦町地区1号公園整備工事の基本設計委託に加え、富士見公園内野球場の整備や富士見第2公園内テニスコート人工芝の張替え、蕨市民公園トイレの洋式化などを実施します。
 錦町土地区画整理事業については、5年度の国の第1次補正予算も活用し、新年度には、繰越明許費分13棟と合わせて33棟の家屋移転を計画しており、着実な推進を図ってまいります。
 その他、生活環境の改善に向け、ごみ集積所のカラス対策として、今年度、各町会に1台ずつ、試験的に配備した「折りたたみ式もやすごみ回収BOX」について、その効果が認められたことから、新年度は更に100台配備いたします。

(6)一人ひとりの心でつなぐ笑顔あふれるまち

 6点目の「一人ひとりの心でつなぐ笑顔あふれるまち」では、国際交流事業について、コロナ禍で実施ができなかった国際青少年キャンプが5年ぶりに開催できることとなり、この夏、姉妹都市であるアメリカ・エルドラド郡に、蕨の青少年を派遣いたします。また、友好都市であるドイツ・リンデン市との市民定期交流が再開され、この4月、リンデン市からの訪問団が8年ぶりに蕨市にお越しになることから、友好都市盟約20周年・市民交流45周年を記念した式典などを実施する予定です。
 多文化共生の推進については、昨年10月、新庁舎開庁にあわせて市民協働課に外国人相談窓口を設置し、既に多くの皆さんにご利用をいただいていますが、新年度は、更に各窓口との連携を深めるとともに、今年度中に作成する「外国人生活ガイドブック」を転入者への配布や各窓口で活用するなど、取り組みを進めてまいります。
 また、市民との協働によるまちづくりでは、これまでの協働事業提案制度をSDGs提案制度として発展させ、新年度は、「わらびecoチャレンジ事業~ストップ温暖化」をテーマとした2つの事業と自由テーマの2つの事業の計4つの事業を市民の皆さんとともに実施してまいります。

(7)市民と市がともに力を発揮して創る自立したまち

 7点目の「市民と市がともに力を発揮して創る自立したまち」では、自治体DXについて、自治体情報システムの標準化に対応するべく、システム環境整備を行うとともに、昨年、協定を締結したソフトバンクとも連携しながら、引き続き、デジタルデバイド対策などに取り組んでまいります。
 また、令和6年度で計画期間を終える「蕨市まち・ひと・しごと創生総合戦略」については、国の総合戦略の改訂や市の最上位計画である「将来ビジョンⅡ」に基づき、7年度を初年度とする新たな「総合戦略」を策定してまいります。

結びに

「勇気のあるところに希望あり」
 これは、古代ローマの歴史家、タキトゥスの言葉です。今、世界は、ウクライナやガザ地区など、紛争の拡大と社会の分断、更には、深刻な気候変動や異常気象、AIとの共存など、かつてない課題に直面し、日本においても、本格的な人口減少・少子高齢社会という大きな困難に直面しています。
 私は、先ほど、先行き不透明な時代だからこそ、希望ある市政を進めていきたいと申し上げましたが、そのためには、タキトゥスの言葉の通り、政治には、信頼とともに、困難な課題にも、正面から取り組み、前に進めていく、その勇気と決断が求められています。そのことは、この間、コロナ禍と物価高騰を乗り越え起工式を迎えることが出来た蕨駅西口再開発や市立病院の建替えに向けた取り組みの中でも、改めて、感じてきたものです。
 本格的な人口減少社会が到来する中、幸い、蕨市では、私の市長就任時には約7万人であった人口は、現在、7万5千人を越え、蕨市内の住宅地の地価上昇率は、一昨年、県内で1位、昨年は2位となり、市民意識調査においても、子育て世帯の85%が、蕨について「子育てしやすい」と回答するなど、まさに「選ばれるまちづくり」が進んでいますが、蕨の新たな将来ビジョンのスタートにあたり、こうした蕨のまちづくりを更に加速化し、市民の皆さんの安心、にぎわい、そして、未来のために、私は、市長として、これからも、市民の皆さんとともに歩みながら、同時に、勇気と決断を持って、市民の暮らしを守り、蕨の更なる飛躍のために、全力を尽くしていく決意であります。
 市議会並びに市民の皆さんには、このような全国に誇れる蕨のまちづくりに、なおいっそうのお力添えをお寄せいただきますよう、心からお願いを申し上げ、令和6年度の施政方針表明といたします。ありがとうございました。

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