施政方針(平成29年3月定例会)

ページ番号1002645  更新日 令和1年11月23日

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はじめに

本日、ここに、平成29年第1回蕨市議会定例会を招集申し上げましたところ、議員各位には、公私とも大変お忙しい中、ご参集を賜り厚くお礼を申し上げます。今定例会は、平成29年度の当初予算をはじめとする重要な案件をご審議いただくことになりますが、この際、私がこれからの市政運営に臨む基本的な考え方や新年度予算の編成方針、更には予算の概要と主な事業について申し上げ、議員各位並びに市民の皆さんのご理解とご協力をお願いする次第です。

蕨駅へのホームドア設置に向けた取り組み

はじめに、去る1月14日、蕨駅において、盲導犬を連れた男性がホームから転落し、亡くなられるという大変痛ましい事故がありました。亡くなられた方には、心からのご冥福をお祈りいたします。
蕨駅のホームドアについては、昨年来、JR東日本と協議を行い、2020年度末までの設置予定となっていましたが、この度の事故を受けて、蕨市では、JR東日本に対し、蕨駅へのホームドア設置の可能な限りの前倒しなど安全対策を求めてきました。これに対し、JR東日本では、警備員2名の配置やホーム端に、心理的な転落防止効果があるとされる蛍光色のライン、CPラインを引くなどの緊急安全対策を講じるとともに、先日、蕨駅へのホームドア設置の1年前倒しを含む駅ホームの安全性向上に向けた取り組みが発表されました。
市長として、この「1年前倒し」を歓迎し、関係機関のご尽力に感謝申し上げますとともに、あのような痛ましい事故があった蕨駅だけに、目の不自由な方はもちろん、小さな子どもから高齢者まで、全ての駅利用者が安心できる、より安全性の高いホームドアが必要であると考えており、今後も、関係機関と連携しながら、財政的な支援も含めて、取り組んでまいります。
また、1年前倒しされるとは言え、ホームドア設置までには、一定の時間を要することから、市として、駅利用者の皆さんに、目の不自由な方などへの声かけ・サポートの呼びかけをさせていただき、市民の皆さんとともに、みんなに優しいまちづくりを進めていきたいと考えています。

この1年間の市政運営を振り返って

さて、この1年間の市政運営を振り返ってみると、市議会や市民の皆さんのご協力をいただきながら、防災・防犯対策や子育て、教育、介護の充実など、将来ビジョンと私の3期目のマニフェストを着実に推進することができ、マニフェストの進捗率は、実施と着手を合わせて78・4%となりました。
こうした中、昨年の市民意識調査において、市民の皆さんの「まちへの愛着」が77・2%と、この20年間で最高の結果となり、重点課題として進めてきた子育て支援でも、「子育てしやすいまちだと思う」との回答が「どちらかと言えばそう思う」も含めて49・2%と、前年より9・1ポイントも高くなったことは、貴重な成果であると考えています。
とりわけ、まちへの愛着の高さは、蕨の素晴らしさであり、市政発展の最大の原動力でもあります。今後とも、市民の皆さんとの協働を基本に、将来ビジョン、マニフェストの着実な推進を通して、全国に誇れるまちづくりを進めていきたいと思います。

世界と日本の動きと市民の安心、未来へのまちづくり

日本経済につきましては、引き続き、「ゆるやかな回復基調にある」とされていますが、実質賃金が低迷する中で、個人消費が伸び悩むなど、国民だれもが景気回復を実感するには、ほど遠い状況にあります。
加えて、昨年来のイギリスのEU離脱、アメリカのトランプ政権誕生など不安定な国際情勢の影響もあり、日本経済の先行きは不透明感を増しており、将来への不安や社会の閉塞感を感じる市民も少なくありません。こうした社会経済状況の中で、市民に最も身近な自治体として、市民の暮らしの安心を実現することが、今ほど求められる時はありません。
同時に、本格的な人口減少社会が進む中で、団塊の世代が75歳以上となる、いわゆる2025年問題まで8年となり、超高齢社会を見据えたまちづくりに着手することが求められています。
また、29年度は、蕨の未来の発展につながる蕨駅西口再開発の推進にとっても、将来にわたり、市民サービスや災害対策の拠点となる市庁舎をどう整備していくのか、その方向性を決めるという点でも、重要な年となってまいります。
そこで、29年度予算の特徴を「市民の安心と未来へのステップ」とし、次の重点事業に取り組むことといたします。

「市民の安心」に向けた重点事業

まず、「市民の安心」に向けた重点事業についてです。蕨の将来ビジョンや日本一の「あったか市政」を目指す私の3期目のマニフェストは、災害への備え、高齢化への対応、子育てをはじめ、市民生活のあらゆる場面において、市民の安心を実現するものでもあります。
そこで、将来ビジョンの3つの柱に沿って、「市民の安心」に向けた重点事業について申し上げます。

安全で安心できるまち

第1の柱である、安全で安心できるまちでは、防災対策の重点事業である公共施設の耐震化について、28年度に引き続き、市民体育館の耐震化工事を進めるとともに、新たに市民会館の耐震化工事を実施いたします。市民体育館については、予定どおり、6月に完成し、7月にリニューアルオープンするとともに、市民会館については、7月から1月初めまでを工事期間とし、その間は休館とする予定です。
防犯対策では、町会や警察と連携して、市内に140台の防犯カメラを設置する街なか防犯カメラ事業に取り組みます。
設置場所については、原則として、町会において、近隣住民の合意を得た上で市に申請していただくとともに、運用にあたっては、プライバシー等にじゅうぶん配慮しながら、犯罪抑止効果が最大限発揮されるようにしていきます。いずれの事業も、市民の安心に直結する重要課題と位置づけ、取り組んでまいります。

にぎわいあふれる元気なまち

第2の柱である、にぎわいあふれる元気なまちでは、東口コミュニティ・ショッピング道路と連続する末広公園の整備や昨年リニューアルしたチャレンジレストラン「クアッカ」による創業支援など、中心市街地活性化基本計画に基づく取り組みを進めるとともに、先日、お披露目を行った蕨ブランドをはじめとする蕨のシティプロモーションを推進します。
また、錦町スポーツ広場の人工芝化により、少年サッカーやグラウンドゴルフはもちろん、若者に人気のフットサルの拠点として、スポーツ振興と活気ある元気なまちづくりにつなげていきたいと思います。
まちの活気は、市民の心を明るく元気にし、それが、市民の安心につながるものであります。

みんなにあたたかく、だれもが住みやすいまち

第3の柱である、みんなにあたたかく、だれもが住みやすいまちでは、まず、子育て支援については、昨年「保育園おちた・・」というブログが話題となるなど、待機児童が大きな社会問題となり、子育て世代の最大の不安となっています。
そうした中、蕨市では、この2年間で認可保育園を5園増設し、待機児童も26年度の47名から昨年は3名にまで大幅に減少したことは、子育て安心のまちづくりの重要な前進と言えます。29年度も、引き続き、4月に新たな認可保育園1園が開園するとともに、留守家庭児童指導室は、昨年の3室増設に続き、4月には4室増設するなど、子育てするなら蕨でと思えるような子育て施策に取り組んでまいります。
また、介護においても、全国的に、特別養護老人ホームに入れない「待機者」問題が、大きな不安につながっています。
蕨市では、一昨年4月に新たな施設を開設することができましたが、引き続き、市内4か所目の特別養護老人ホームの整備に向けた取り組みを進め、介護や将来への安心につなげてまいります。

「未来へのステップ」となる3つの重点事業

次に「未来へのステップ」となる3つの重点事業について申し上げます。

超高齢社会を見据えた3つの埼玉県モデル事業の推進

第1は、超高齢社会を見据えた3つの埼玉県モデル事業の推進です。
蕨市では、現在、健康長寿埼玉モデル事業、地域包括ケアシステムモデル事業、アクティブシニア社会参加支援事業、という埼玉県の3つのモデル事業を進めています。これらは、いずれも、超高齢社会の到来を見据えた事業でもあります。
私は、超高齢社会の到来を後ろ向きに捉えるのではなく、日本一のコンパクトシティであり、地域力が豊かな蕨らしさを生かし、全市民的な健康づくりや市民による支え合いをはじめとする地域包括ケアシステムの構築、元気な高齢者の皆さんのまちづくりへの参加など、超高齢化に対応した蕨モデルと言えるようなまちづくりを進めていきたいと考えています。
健康長寿埼玉モデルでは、3年目の総仕上げを迎えますが、モニターを210名に増やし、引き続き、ウォーキングと筋力アップによる健康づくりを進めるとともに、その成果を検証し、30年度からの全市民的な健康づくりにつなげてまいります。
地域包括ケアシステムの構築では、高齢者の居場所となり、地域での支え合いの拠点ともなる地域交流サロンの整備を進めるとともに、住民主体の介護予防事業である「いきいき百歳体操」のいっそうの拡大、認知症対応型のグループホームの増設や通所介護事業の拡充など認知症対策の推進、介護と医療の連携、自立を促進するケア会議の開催などを進めます。
アクティブシニア社会参加支援事業では、先日、元気な高齢者の皆さんの地域デビューのきっかけづくりとして、ボランティア市民活動見本市が、約600名の参加で盛大に開催されました。現在、蕨市では、65歳以上の方のうち、介護の認定を受けているのは約16%で、8割以上は、元気な高齢者の皆さんです。
こうした方々が、これまで以上に、それぞれの特技や経験を生かし、市民活動やボランティア、生涯学習、そして、地域での支え合いの活動などに参加していただくことが、高齢者の皆さんの健康や生きがいづくりにつながるとともに、超高齢化に対応したまちづくりを進める大きな力となります。新年度も、引き続き、見本市や体験会を開催するとともに、コミュニティカフェの開設に向けた担い手養成などにも取り組んでまいります。

蕨の玄関口にふさわしい蕨駅西口再開発の推進

第2は、蕨駅西口再開発事業の推進です。蕨駅西口再開発は、蕨駅に隣接しているというポテンシャルの高さを生かし、魅力的な商業施設や都市型高層住宅の整備により、にぎわいの創出や定住人口の増加、老朽化した駅前広場の再整備など、蕨の将来の発展につながる事業であり、私の3期目のマニフェストにおいても、「蕨の玄関口にふさわしい蕨駅西口再開発の推進」と掲げて、取り組みを進めてまいりました。
この間、26年12月には、事業推進の母体となる再開発準備組合が設立され、その後、事業協力者も決定し、事業推進体制を整えながら、蕨の玄関口にふさわしい計画づくりに向けて、権利者の皆さんと検討を重ねるとともに、関係機関との協議、近年の高騰する建築コストを踏まえた資金計画づくりなどを進めてまいりました。
本事業は、権利者の皆さんはもとより、蕨市にとっても未来に向けた一大事業であり、引き続き、準備組合と連携しながら、市民の皆さんの期待に応え、蕨の未来につながる魅力的な計画づくりや権利者との合意形成、関係機関との協議など、事業を進める上で大切な節目となる都市計画の変更に向けた取り組みを進めてまいります。

市庁舎の耐震化

第3は、市庁舎の耐震化についてです。市庁舎は、昭和39年の建設で、既に52年が経過しており、平成8年の耐震診断で「耐震性が劣る」との結果が出ていました。
しかしながら、私が市長に就任した平成19年当時、蕨市内の公共施設の耐震化は大変遅れた状況にあったことから、子どもが利用する施設や避難所となる公共施設を優先して耐震化に取り組むこととし、市庁舎については、耐震化されるまでの安全対策として、人命を守る観点から、23年度にSRF工法による軸耐力補強工事を行い、層崩壊を防ぐ措置を講じてきました。
その後、25年度には小・中学校、26年度には保育園、そして、27年度には、独立した公民館の耐震化工事が終了し、28年度から、大型施設である市民体育館の耐震化工事、市民会館の耐震設計を行うなど、公共施設の耐震化に一定の見通しが立ち、市庁舎の整備に当たっての財源である市庁舎整備基金も27年度末には10億円を超えるなど、市庁舎の耐震化を実効性をもって検討できる状況となったことから、昨年6月より、市役所内の市庁舎整備検討委員会において、市庁舎の耐震化のあり方を検討し、本年1月に報告書をまとめました。
言うまでもなく、市役所は、市民サービスや災害時における災害対応の拠点であり、この間の災害をみても、震災によって市庁舎の機能が失われると、災害対応や市民サービス、その後の復旧・復興に大きな支障を来たします。また、市庁舎をどう整備するのかは、まちの将来に係る重大課題でもあります。
そこで、これまでの庁内での検討を踏まえ、29年度には、学識経験者や公共的団体の代表、市議会議員、公募の市民で構成する市庁舎整備検討審議会を設置し、建替えも含めた市庁舎の耐震化、整備の方向性を決定していきたいと考えています。

平成29年度当初予算の概要

以上のような市政運営の基本的な考え方や取り組むべき重点事業を踏まえた、平成29年度蕨市一般会計予算の概要については、まず、歳入において、歳入の根幹をなす市税収入を、個人市民税や固定資産税の増などにより1億5000万円増の110億5000万円と見込んだほか、地方交付税を2億6000万円減の13億9000万円、国庫支出金を約9400万円減の約41億6000万円と見込みました。
更に、公共施設の耐震化や改修に充当するため、公共施設改修基金から5億6000万円を繰り入れています。
一方、歳出においては、留守家庭児童指導室や民間認可保育園の増設および運営費の増などによる子育て関連予算の増額、市民体育館や市民会館をはじめとする公共施設耐震補強等事業、錦町スポーツ広場改修事業を計上するなど、総額は236億9000万円となりました。これは、前年度比4億3000万円、1・8%の増で、一般会計当初予算の規模としては、過去最高となります。 特別会計では、国民健康保険や公共下水道、介護保険、錦町区画整理など6つの会計の総額は179億6200万円、病院・水道の企業会計合計額は45億7195万9000円で、以上の全会計を合わせた蕨市全体の予算規模は、462億2395万9000円となりました。

6つの基本目標に沿った主な事業

次に、将来ビジョンに掲げるまちづくりの6つの基本目標および推進プランに沿った主な施策について具体的に申し上げます。

安全で安心して暮らせるまち

1点目の「安全で安心して暮らせるまち」では、先ほど、重点事業で申し上げた市民体育館や市民会館の耐震化工事のほか、錦町児童館、図書館は、耐震設計を、市営住宅錦町2丁目第一住宅および錦町4丁目住宅一号棟については、耐震診断を実施します。消防署塚越分署については、28年度に実施した耐震診断の結果、耐震改修を実施するには、建て替えと同程度の費用を要する見通しが明らかとなったことから、現在地に建て替える方針とし、29年度中に、消防本部において、建て替えに向けた基本計画を作成します。
また、住宅の耐震化の更なる促進に向けて、昨年10月の国の第二次補正予算を活用し、29年度に限り、耐震化に関する意識の啓発に努めながら、木造住宅耐震改修に対する補助の上限額を1戸あたり2倍の60万円に拡充します。
更に、地域の防災力の向上に向けて、28年度に引き続き、初期消火に有効なスタンドパイプを希望する自主防災会に配備するほか、国の被害想定が更新されたことを受け、「洪水ハザードマップ」の改訂版を作成し、全世帯に配布します。
防犯対策では、街なか防犯カメラ事業に加え、商店街の防犯カメラ設置に対する補助も行い、相互の連携によって、地域の安全をいっそう高めていくほか、不審者対策や安全管理のため、全ての市立保育園や総合社会福祉センターに防犯カメラを設置します。

豊かな個性を育み子どもたちの未来輝くまち

2点目の「豊かな個性を育み子どもたちの未来輝くまち」では、保育園の待機児童の解消に向けて、4月に、定員60名の民間認可保育園1園が開園します。この結果、蕨市内の認可保育園数13園、定員は1168名となり、この5年間で、保育園数で約2・2倍、定員で約1・8倍となります。
また、民間認可保育園や小規模保育事業所が、雇用後5年以内の保育士に対し、居住用の住居を借り上げた場合、月額6万1000円を上限に補助金を交付する保育士宿舎借り上げ支援事業を実施し、保育士の確保や就業継続など、働きやすい環境づくりを支援します。
保育園と同様、利用者が急増している留守家庭児童指導室については、29年度に中央東地区の現在の施設を2階建てに建て替え、1階2階それぞれの2施設としますが、建て替えが完了するまでの暫定措置として、中央東小学校内に、現在の施設をA館として移設し、増設する施設をB館として整備します。
これに、現在、整備を進めている塚越地区B館、錦町地区B館、北町地区C館を合わせた4室は、4月から確実にスタートさせるため、昨年10月に公募を行い、運営を民間事業者に委託いたします。
教育の分野では、教育センター機能の充実を図るため、教育の知識や経験を持つ統括相談員1名と日本語特別支援教育支援員1名を新たに配置し、相談体制の充実と学校や関係機関との連携強化を図るとともに、初期の日本語教室を行うなど、増加する在住外国人児童・生徒、並びに保護者への対応を充実させます。
子どもの学力向上を初め、高い教育効果をあげている小学校6年生までの35人程度学級については、優れた資質の教員を確保することが重要であることから、29年度から、市費採用教員の処遇を改善します。
その他、埼玉県の「みどりいっぱいの園庭・校庭促進事業補助金」を活用し、東小学校校庭の一部を芝生化します。

みんなにあたたかく健康に生活できるまち

3点目の「みんなにあたたかく健康に生活できるまち」では、重点事業で申し上げた埼玉県の3つのモデル事業を進めるとともに、オレンジカフェ「クローバー」の拡大や認知症サポーター養成講座、認知症地域支援推進員を第一地域包括支援センターに加えて、第二地域包括支援センターにも配置し、ご本人や家族への相談支援、関係機関との連携の充実を図るなど、認知症対策を進めてまいります。
市内4か所目の特別養護老人ホームの整備については、29年度から5年間、用地確保に協力された土地所有者に対して固定資産税、都市計画税相当額を交付するなど平成31年2月の開設に向けて支援をしてまいります。なお、新たな施設の概要は、場所は中央7丁目で、個室40床と多床室50床の計90床の他、ショートステイ10床となっています。
また、蕨市健康アップ計画に基づき、29年度は、塚越をモデル地区に取り組みを進めるとともに、現行計画が29年度末で終了となるため、30年度からの第二次健康アップ計画の策定作業を進めてまいります。
障害者福祉では、家族の一時的な休息を目的に、障害者の活動の場や見守りの場を提供する日中一時支援事業について、これをNPO法人等へ拡充するほか、障害者団体などが、情報交換のための交流会や防災対策、見守りなど、障害者を支援するために行う自発的な活動に対して、3万円を上限に助成する制度を新設します。
ガン検診では、乳がん検診の期間を17日間から20日間に拡充するとともに、胃がん検診は、28年度より60歳以上に胃部エックス線検査と胃内視鏡検査の選択制を導入しましたが、胃内視鏡検査の希望者が大変多いことから、定員を300人から500人に拡充します。
市立病院については、地域の中核病院、救急病院として、また、市内唯一の分娩できる病院として、その役割は、ますます高まっています。今後は、国の医療制度改革と埼玉県が28年度に策定した地域医療構想を踏まえ、市立病院のあるべき姿と役割、病院施設の建て替えを含めた施設の在り方について、市立病院の将来構想の策定に取り組むこととしており、29年度は、そのための基礎調査を実施いたします。
更に、27年4月に施行した歯科口腔の健康づくり推進条例に基づき、これまでプレママ講座で実施していた妊婦歯科検診を個別化し、受診しやすくするとともに、不妊に悩む夫婦への支援として、不妊症の診断のために医師が必要と認めた検査について、1回に限り、2万円を上限に検査費を助成します。

にぎわいと活力、市民文化と歴史がとけあう元気なまち

4点目の「にぎわいと活力、市民文化と歴史がとけあう元気なまち」では、双子織や河鍋暁斎をはじめ、蕨らしさを生かした蕨ブランド認定品の魅力を市内外へPRするとともに、新たに製作する蕨のマスコットキャラクター「ワラビー」と「エンジェルわらぶー」のグッズ販売、原動機付き自転車のご当地ナンバープレート作成などを通じて蕨の魅力を広めるなど、シティプロモーションを進めてまいります。
蕨の魅力発信と地域活性化の効果も期待される、ふるさと納税の返礼品制度は、昨年9月30日より開始し、昨日現在、全国から525件、1793万3865円もの寄附につながっています。引き続き、市内事業者と連携しながら、魅力ある返礼品の充実を図ります。
スポーツ・レクリエーション活動環境の充実に向けて、錦町スポーツ広場の人工芝化やフェンスの改修、夜間照明灯の設置などの整備を進めます。完成は30年1月末を予定しており、2月にはリニューアルイベントを行います。
音楽によるまちづくりでは、28年度に引き続き、学校への音楽家派遣や関連情報誌の発行のほか、市民音楽祭については、新たな試みとして、市内各所で音楽が楽しめるイベントを開催し、まち全体での盛り上げを図っていきます。

快適で過ごしやすく環境にやさしいまち

5点目の「快適で過ごしやすく環境にやさしいまち」では、東口コミュニティ・ショッピング道路に面した末広公園について、ワークショップでの地域の皆さんの意見を取り入れた内容で整備を行います。
錦町土地区画整理事業については、一般会計からの繰出金とともに、国の交付金や市債などの最大限の活用を図り、20棟の家屋移転や街路整備のほか排水路整備などを進めます。
中央第一地区のまちづくりでは、後退用地にある建築物等の除却に対する補助や道路整備を行うほか、国庫補助金を活用しながら、道路拡幅のための土地購入を進めます。合わせて、公共用地先行取得事業特別会計でも、地権者との合意形成を図りながら土地の先行取得を進め、事業の進捗を図ります。

一人ひとりの心でつなぐ笑顔あふれるまち

6点目の「一人ひとりの心でつなぐ笑顔あふれるまち」では、市民の皆さんとの協働によるまちづくりを推進するため、にぎわい創出に向けた「わらてつまつり」や、中学生を対象とした「デートDV防止講演会」、豊富な知識を有する防災士会の皆さんによる「わらび防災大学校」の3つの協働提案事業を開催します。
更に、配偶者暴力相談支援センターのDV相談が年々増加していることから、より専門的、継続的に対応できる女性相談員による相談を、週2日から3日に拡充し、きめ細かな支援を行っていきます。

行財政運営

続いて、持続可能な都市蕨に向けた、行財政運営についてであります。
土地開発公社については、経営健全化計画に基づき、29年度は、中央1丁目の蕨駅西口第1駐車場の一部約2億2000万円の土地を買い戻します。その結果、土地開発公社の借入金は34億900万円程度に縮減される見込みです。また、一般会計と特別会計、公営企業会計および土地開発公社を合わせた市全体の29年度末借入残高見込みは約307億9500万円で、前年度と比較して、およそ1億3700万円の減となります。
国民健康保険については、国民健康保険法等が改正され、これまで市町村単位で運営されてきた国民健康保険が、平成30年4月から、都道府県が財政主体となって市町村と共に運営する、いわゆる広域化が図られることとなりました。今後は、県が定める納付金を市町村から納めるとともに、国保の運営方針や市町村毎の標準的な保険税率が示されることとなります。
私は、これまで、国保の広域化では、国保の厳しい財政構造は解決できず、国による財政負担の増大が欠かせない、との立場を繰り返し表明してきましたが、法改正により、国保の広域化が実施の段階を迎える中で、市民の健康を保持する国保の意義や市民の暮らしを支える自治体の責務を基本としつつ、広域化される制度の趣旨や市財政への影響などを踏まえ、保険税率の見直しも含めた対応を検討してまいります。
将来に向けた公共施設等の改修については、28年度に策定する「公共施設等総合管理計画」に基づき、新たにマネジメント担当を置き、長期的な視点に立った施設管理を進めていくほか、28年度に実施した橋りょうの定期点検結果を踏まえ、市が管理しているJR跨線橋を含む橋りょうの更新時期や修繕の方法を検討するなど、施設の長寿命化や維持補修費用の平準化に向けた計画を策定します。
更に、下水道の長寿命化に向けた取り組みとしては、28年度に策定する下水道管路長寿命化基本計画を下に、29年度は管路の調査を実施し、それに基づく詳細計画を策定します。
また、市民の利便性向上に向けて、29年6月から住民票や印鑑証明、戸籍謄抄本および附票のコンビニ交付を始めます。主だったコンビニエンスストアにおいて、個人番号カードを利用して、住民票等は、土・日を含め午前6時半から午後11時まで、戸籍等は平日の午前9時から午後5時まで交付が可能となります。

むすびに

さて、昨日から、渋谷のBunkamuraザミュージアムにおいて、「これぞ暁斎!世界が認めたその画力 ゴールドマン・コレクション」が始まりました。
これは、世界屈指の暁斎コレクターであるゴールドマン氏が所蔵する浮世絵や戯画など180点を展示するもので、暁斎の魅力を余すことなく伝える展覧会として期待されていますが、いま海外からも注目されている「和楽器バンド」がイメージソングを担当し、一昨日の内覧会には、三笠宮家の彬子様が観賞されるなど、すでにテレビや新聞などでも話題となっています。
本格的な人口減少社会を迎える中で、蕨市では、蕨ブランドも含めて、蕨の魅力を市の内外に発信するシティプロモーションをすすめていますが、文化には、人々に元気を与え、地域社会を活性化させ、魅力ある地域社会を実現する力があります。
私は、先ほど、新年度予算の特徴を「市民の安心と未来へのステップ」と申し上げましたが、より長期的な視点でまちづくりを考えた場合、この文化の力は非常に大きなものがあります。まして、蕨市には、中山道の宿場町や機織りのまち、成年式発祥の地といった歴史、そして、世界的なブランド力を持つ河鍋暁斎記念美術館など、素晴らしい「文化力」があります。
私は、市長として、市民の皆さんとの協働を基本に、こうした全国に誇る蕨の文化力も生かしながら、市民の安心と未来へつながる、日本一のコンパクトシティ蕨に向けて、引き続き、全力を尽くしてまいります。どうか、市議会をはじめ、市民の皆さんには、なおいっそうのお力添えをお寄せいただきますよう、心からお願いを申し上げ、平成29年度の施政方針表明といたします。ありがとうございました。

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