市長報告(令和7年9月定例会)
はじめに
本日、ここに令和7年第5回蕨市議会定例会を招集申し上げましたところ、議員の皆様には、公私とも大変お忙しいなか、ご参集を賜り、厚く御礼を申し上げます。今定例会でご審議いただく案件は、条例案6件、補正予算案4件、契約案2件、その他1件、決算認定9件の計22件であります。いずれも重要な案件でありますので、慎重なるご審議をいただき、ご議決くださいますよう、お願い申し上げます。
それでは、先の定例会から今日までの市政の取り組みや当面する課題など、9点について、ご報告を申し上げ、議員各位をはじめ、市民の皆さんのご理解を賜りたいと思います。
蕨戸田衛生センターの火災にかかる対応
1点目は、蕨戸田衛生センターの火災にかかる対応について、ご報告申し上げます。
7月12日に発生した火災により、蕨戸田衛生センターのごみ処理施設が稼働できない状況となり、7月14日から3日間、ごみ収集の一時停止を余儀なくされましたが、他の自治体のご協力により、7月17日から、ごみの収集・処理を再開することができました。更には、この間、関係機関と連携して、施設の早期復旧に向けて、全力を挙げてきたところです。
その結果、リサイクルプラザやし尿処理施設など一部施設については、電気の仮復旧により、先月18日から稼働を再開することができました。ごみ焼却施設については、電気設備の全面的な復旧が必要であることから、再稼働は、来年3月中となる見込みです。なお、粗大ごみ処理施設については、火災による建物の損傷状況を確認する火害調査を行い、今後、復旧方針を検討していくこととなります。
火災への対応のため、蕨戸田衛生センター組合では、他の自治体へのごみ処理委託料に約18億円、ごみ焼却施設の復旧に約21億円など、合計約41億円の費用がかかりますが、ごみ処理委託料については、その2分の1を、国から特別交付税として、措置される見込みとなりました。施設復旧工事費については、その全額を火災復旧事業債でまかない、来年度以降、火災保険の支払金や蕨市と戸田市からの負担金で返還することとなりますが、今後も財源の確保に力を尽くしていきたいと思います。
火災の原因については、消防による実況見分の結果は、「不明」ですが、蕨戸田衛生センター組合では、原因究明と再発防止のため、外部の専門家を含む対策会議を先月設置し、今後、しっかりと検証を進め、再発防止策を講じていくこととしています。一方で、全国的にリチウムイオン電池や電池を内蔵する家電製品が原因となった火災が発生していることから、今回の火災についても、「その可能性は排除できない」と考えています。そこで、更なる分別の徹底に向けて、12月から、リチウムイオン電池などの充電式電池については、透明の袋に入れて、「消火器・バッテリー」のかごに分別していただくこととし、12月に、分別の方法を記載したチラシと合わせて、分別のための袋を全世帯に配布し、周知、啓発に努めていく予定です。更には、国に対して、リチウムイオン電池等を含む製品への安全対策について要望していきたいと考えております。
また、ごみの更なる減量化に向けて、地球温暖化対策設備等設置費補助金の対象を拡充し、今月から、新たに、生ごみ処理機や生ごみ処理容器への補助を開始いたしました。
ごみ処理は、市民生活に欠かせない重要な市民サービスであり、今後とも関係機関と連携を図りながら安定的に進めていくとともに、施設の早期再稼働に向けて全力で取り組んでまいります。
蕨市プレミアム付きデジタル商品券
2点目は、蕨市プレミアム付きデジタル商品券について、ご報告申し上げます。
蕨市独自の物価高騰対策である、蕨市プレミアム付きデジタル商品券については、できる限り多くの市民の皆さんにご利用をいただけるよう、市ホームページやケーブルテレビ、全戸配布チラシなどで周知を図るとともに、デジタルデバイド対策として、市役所や公民館などでの延べ15回にわたる個別説明会を開催するなど、様々な取り組みを進めてまいりましたが、6月1日から30日までの申込期間で、販売予定数3万5,000口を超える3万7,201口のお申込みをいただきました。
申込者については、7月1日に当選のご案内メールをお送りし、既に市内登録店舗での利用が開始されていますが、先月末現在で、発行総額の60%にあたる約2億7,300万円が使用されています。また、蕨市にぎわいまちづくり連合会では、蕨市プレミアム付きデジタル商品券を使って加盟店でお買い物すると抽選で2,000円の商品券が500本当たる「中元ダブルチャンス」もあわせて実施しています。
なお、お申し込みをいただいたものの、購入されなかった2,234口分の商品券については、一次販売で、商品券の申し込みを行なわなかった12歳以上の市民を対象に、今月8日から、先着順で販売を行う予定です。
蕨市プレミアム付きデジタル商品券は、大型店を含む市内650以上の幅広い登録店舗で利用することができ、使用期限は12月末までとなっていますので、引き続き、期間内にご利用をいただくよう周知を行うなど、事業を推進していきたいと思います。
にぎわい交流拠点の整備
3点目は、にぎわい交流拠点の整備について、ご報告申し上げます。
蕨市役所の仮設庁舎跡地について、民間活力を活用した中山道への新たな「にぎわい交流拠点」の整備に向けて、今年3月に「蕨市仮設庁舎跡地利活用基本計画」を策定し、5月には、まず民間機能部分について、集客力が見込まれる飲食施設の整備・運営を担う事業者の公募を行いました。プロポーザル審査の結果、カフェ業界でもトップクラスの人気を誇るコメダ珈琲店が選定され、先月29日に、基本協定を締結いたしました。今後、市との様々な協議の下に整備が進められていきますが、店舗については、蕨のオリジナルとして、中山道の街並みに溶け込む設え(しつらえ)とした提案がなされており、中山道蕨宿の新たな名所になるものと期待を寄せています。
次に、公共機能部分については、市の観光資源である蕨ブランド認定品をはじめとした、蕨ゆかりの商品などを取り扱い、まちの魅力を発信していくための物販施設の整備や、市民の皆さんがくつろぎ、イベント会場としても活用できる広場機能の整備を推進するものとし、6月より設計・施工事業者を公募いたしましたが、プロポーザル審査の結果、蕨宿にぎわい交流拠点整備共同企業体を選定し、事業者との工事請負契約の議案を今議会に提出いたしました。今後は、公共機能施設の管理・運営やソフト事業の企画・実施などを行う運営事業者の公募を行ってまいります。
蕨のにぎわいの創出と、まちなかへの回遊性を生む、新たなにぎわい交流拠点の整備に向けて、引き続き、着実に取り組みを進めてまいります。
蕨市公式LINEの導入
4点目は、蕨市公式LINEの導入について、ご報告申し上げます。
蕨市では、市民の皆さんに広く市政の情報をお伝えするため、これまで広報紙やホームページ、ケーブルテレビ、近年は、市公式YoutubeやXなど、様々な媒体を活用して情報発信を行ってまいりましたが、更に、来月1日から、蕨市LINE公式アカウントを導入してまいります。
蕨市公式LINEでは、登録者のニーズに応じた情報をプッシュ型でリアルタイムに届けられることが特長で、暮らしの情報や蕨のイベント、防災行政無線など、11の分野から選択してもらい、多言語にも対応して配信してまいります。また、画面内にわかりやすいメニューを設け、 市ホームページと連携して、防災やごみ、子育てポータルサイトなど、ニーズが高いと思われる情報にアクセスしやすくし、利用者の利便性を高めていきます。
LINEは、日本で最も多くの人に利用されているSNSで、広報紙や市ホームページをあまり見ていない層にもアプローチできることはもとより、能登半島地震では、LINEを通じた情報発信が活用されるなど、災害時にも有効であるほか、デジタル技術を活かした様々な取り組みとの連携も考えられます。
そこで、蕨市として、蕨市公式LINEのスタートに当たり、より多くの皆さんに登録していただくため、来月1日から12月31日までの間、最大1万人の市民の登録者に500円分のデジタルギフトを配布する、という思い切ったキャンペーンを実施することとし、その関連予算を今議会に提出させていただきました。なお、期間内の登録者が1万人を超えた場合は抽選となりますが、来年1月に、LINEを通じて、デジタルギフトを配布する予定です。
今後は、市公式LINEも活用しながら、いっそう積極的な市政の情報や蕨の魅力の発信を進めてまいります。
母子健康手帳アプリの導入
5点目は、母子健康手帳アプリの導入について、ご報告申し上げます。
蕨市では、スマートフォンやタブレット端末などを通じて、母子健康手帳の機能をはじめ、妊娠から出産、子育てまでをサポートする「子育てアプリ わらべび」の配信を先月1日から開始しました。
アプリの主な機能として、身長、体重などお子さんの成長記録をはじめ、予防接種のタイミングのお知らせや接種記録の管理、蕨市からの地域の子育て情報の提供、市内の医療機関や子育て支援施設を調べられる施設検索、妊婦さんの健康管理など、多彩な機能を備えています。
従来の紙の母子健康手帳の交付も継続しますが、アプリをあわせて使うことで、スマホへのプッシュ型通知による予防接種や健診忘れの防止、手帳の紛失や災害の際のデータ復旧などができ、より安心で便利になります。
また、来月1日からは、妊娠届や産後ケア事業の利用申請、妊婦面談の予約などがオンラインでできる届出機能も利用開始となり、更に便利にご利用いただけます。
現在、「子育てアプリ わらべび」について、多くの方にご利用いただけるよう、妊娠届や出生届をいただいた方や乳幼児健診への参加者をはじめ、医療機関や関係機関などとも連携して、周知を進めており、今後もアプリを活用しながら、妊娠、出産、子育てに関する情報発信の強化を図るとともに、子育てしやすいまちづくりをいっそう推進してまいります。
民間留守家庭児童指導室の開設に向けた取り組み
6点目は、民間留守家庭児童指導室の開設に向けた取り組みについてご報告申し上げます。
留守家庭児童指導室は、共働き家庭の子育てを支える重要な施設でありますが、年々増加する利用ニーズに応えるため、この間、必要に応じ、公設民営、更には、民設民営の手法も用いて増設を進めてまいりました。私の市長就任時の7室から、現在は22室にまで増設し、定員も290名から835名へと大幅に増やしてまいりましたが、その後も利用ニーズの増加が続いていることから、南小学校区に新たに民間留守家庭児童指導室を増設することとし、6月定例会で、関連予算のご議決をいただいたところです。その後、事業者の公募を行った結果、NPO法人三楽が選定され、南町2丁目に定員38名の「キッズクラブわらび南」を開設することとなりました。今後は、来年4月の開設に向けて、整備に対する必要な支援を行ってまいります。
マイナンバーカード申請支援事業
7点目は、マイナンバーカード申請支援事業について、ご報告申し上げます。
現在、マイナンバーカード発行後10年の更新時期を迎える方やマイナ保険証として新規カードの作成を希望する方が増加していることから、申請する市民の皆さんの負担を軽減し、速やかな発行手続きを行うとともに、市民課窓口の待ち時間の短縮にもつなげるため、7月29日より、マイナンバーカード申請支援事業を開始いたしました。
この事業は、民間事業者と連携し、マイナンバーカードの新規申請や更新を行う新たな窓口や出張窓口を設けて、申請書の記入支援や写真撮影を行うもので、国や市役所で発行された二次元コード付き申請書をお持ちであれば、その場で申請手続きを終えることができます。年度内は、週に2、3回程度、場所は、市庁舎1階の多目的会議室のほか、各地区の公民館などを巡回していく予定で、先月は東公民館で実施し、今月は西公民館と図書館、来月は北町公民館でも実施します。先月末までに208名の利用がございましたが、今後も多くの方に利用していただけるよう周知に努めてまいります。
住友生命保険相互会社との包括連携協定の締結
8点目は、住友生命保険相互会社との包括連携協定の締結について、ご報告申し上げます。
蕨市では、これまでも様々な地域課題の解決に向けて、協働のまちづくりを進めてまいりましたが、この度、蕨市における、市民サービスの向上及び地域の活性化推進を目的として、先月22日、住友生命保険相互会社と、包括連携に関する協定を締結いたしました。
今後は、本協定に基づき、市のウォーキングイベントと連携した健康プログラムの実施や健康セミナーの開催など、市民の健康づくりをはじめ、子ども向けの出前授業の実施などの青少年の健全育成・教育、まちの安全・安心や高齢者支援に関することなど、多岐にわたる分野で連携してまいります。
これからも民間事業者の皆さんとの連携を図りながら、蕨の協働のまちづくりを更に進めてまいります。
戦後80年・蕨市平和都市宣言40周年記念行事
9点目は、戦後80年・蕨市平和都市宣言40周年記念行事について、ご報告申し上げます。
今年は、戦後80年、被爆80年、そして蕨市にとって、市民の平和への願いを結集し、採択された蕨市平和都市宣言から40周年の大切な節目を迎えることから、先月2日、市民会館コンクレレホールで、戦後80年・蕨市平和都市宣言40周年記念行事を開催いたしました。
当日は、ご来賓の市議会議員の皆様をはじめ、市政の推進にご協力いただいている市民の皆さんや記念行事に応募をいただいた多くの皆さんで会場が一杯となり、第1部の記念式典では、市長としてご挨拶させていただき、今年の成年式の実行委員長と副委員長のお二人には、若い世代を代表して「蕨市平和都市宣言」を朗読していただきました。
第2部の平和コンサートでは、川口ぞうれっしゃ合唱団の皆さんによる「ぞうれっしゃがやってきた」の合唱をお届けしました。この合唱団は、蕨市平和都市宣言5周年をきっかけに結成されるなど、蕨市にとてもゆかりの深い合唱団で、その響きわたる平和への祈りを込めた歌声に、会場いっぱいの参加者の皆さんに感動が広がり、大きな拍手が寄せられました。
また、当日、ロビーには、この10年間の広報蕨に掲載した市民の戦争体験をパネルにしたものを展示させていただきましたが、来場された大勢の皆さんが見入っている様子が印象的でした。
こうして開催した記念行事は、改めて、多くの市民の皆さんとともに、戦争の悲惨さ、平和の大切さを胸に刻み、蕨市平和都市宣言の意義を再確認するものとなり、戦後80年、蕨市平和都市宣言40周年の節目に相応しい機会となりました。
改めまして、ご来場いただいた皆さんや関係者の皆さんに心より感謝申し上げます。そして、今後とも、市民の暮らしを守る市長として、また、平和宣言都市の市長として、世界の恒久平和と核兵器のすみやかな廃絶に力を尽くすとともに、平和で豊かな社会を次の世代に引き継いでいく決意でありますので、市議会並びに市民の皆さんには、引き続きのお力添えをよろしくお願いいたします。
以上、簡単ですが、令和7年第5回蕨市議会定例会における市長報告といたします。
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