市長報告(令和6年12月定例会)
はじめに
本日、ここに令和6年第5回蕨市議会定例会を招集申し上げましたところ、議員の皆様には、公私とも大変お忙しいなか、ご参集を賜り、厚く御礼を申し上げます。今定例会でご審議いただく案件は、条例案3件、補正予算案4件、人事案3件、契約案1件、その他1件の計12件であります。いずれも重要な案件でありますので、慎重なるご審議をいただき、ご議決くださいますよう、お願い申し上げます。
それでは、先の定例会から今日までの市政の取り組みや当面する課題など、10点について、ご報告を申し上げ、議員各位をはじめ、市民の皆さんのご理解を賜りたいと思います。
令和6年度市民意識調査
1点目は、令和6年度の市民意識調査の結果がまとまりましたので、ご報告申し上げます。
この調査は、市民の皆さんのまちづくりに対するご意見やご要望を把握し、市民と行政が一体となったまちづくりを進めるために毎年実施しているもので、市内在住の18歳以上の男女1,000人を対象に調査票をお送りし、444人、率にして44.4%の方から回答をいただきました。
それでは、主な内容についてご説明いたします。まず、毎年お聞きしている項目のうち、「まちへの愛着」については、「感じている」と答えた方の割合が、68.9%と、引き続き、約7割の方がまちへの愛着を感じているという結果になりました。また、「永住意識」については、これからも「住みたいと思う」と答えた方の割合が、61.7%と昨年同様6割以上の方が、今後も蕨に住みたいと回答しています。
次に、「まちづくり」についての考え方のうち、18歳未満の子どもがいる方に「子育て」についてお聞きしたところ、「子育てしやすいまちだと思う」、または「どちらかといえばそう思う」と回答した方の割合が、84.6%となっており、昨年度に引き続き、子育てをしている方の約85%が子育てしやすいまちだと感じているという結果になっています。
続いて、今後の市政の重点施策に関する設問では、36項目について、「重要度」と「満足度」の両面からお聞きし、「重要度」では、1位が「防犯対策」、2位が「防災対策」、3位が「消防・救急体制」で、昨年と同様、安全安心に関わる分野が上位を占め、「満足度」では、1位が「消防・救急体制」、2位が「防災対策」、3位が「子ども・子育て支援」となりました。
市では、これら調査結果を今後の市政運営の参考にして、本年度からスタートした蕨市の新たな10年計画である将来ビジョンⅡに掲げる「目指すまちのビジョン ~ 安心・にぎわい・未来 みんなで創る みんなにあたたかい みんなのまち 蕨」の実現に向け、各施策の充実を図ってまいります。
防犯対策の更なる充実
2点目は、防犯対策の更なる充実について、ご報告申し上げます。
蕨市では、町会や地域の皆さんによる防犯パトロールをはじめ、市内全ての防犯灯のLED化や通話録音機能付電話機購入補助のほか、平成29年度に街なか防犯カメラを140基設置するなど、防犯対策に力を入れ、市内犯罪認知件数は、ピーク時であった平成15年の3,046件から、昨年は695件と、4分の1以下にまで減少しています。一方で、コロナ禍が明けて、全国的に犯罪件数が増加傾向に転じており、特に、関東近県では、最近、闇バイトを使った大変凶悪な強盗事件が相次ぐなど不安が広がっています。
こうした中、蕨市では、今年度、防犯対策の更なる充実に向けて、街なか防犯カメラを60基増設し、計200基とする取り組みを町会や警察と連携しながら進めており、9月より工事を行い、12月に順次運用を開始する予定です。更に、家庭用防犯カメラ設置費補助制度を創設し、個人宅には2万円、共同住宅には10万円を上限に補助を行っていますが、このところ申請が増加し、昨日の時点で58件に上っています。
これからも、町会をはじめ、市民、行政、警察が連携して、安全安心なまちづくりを推進してまいります。
スマートウエルネスシティの推進
3点目は、スマートウエルネスシティの推進について、ご報告申し上げます。
蕨市では、誰もが健康で幸せを実感できる「スマートウエルネスシティ」のまちづくりを進めていますが、その柱の一つが、ウォーキングによる健康づくりです。ウォーキングは、がんや心疾患、脳血管疾患など、様々な生活習慣病の予防はもちろん、脳の活性化、幸福感の向上にもつながることが報告されています。こうしたウォーキングの輪を市民の皆さんとともに更に広げるため、今月30日に、市民公園を会場に、元サッカー日本代表の坪井慶介さんをお招きしてのウォーキングイベントを開催するほか、来月に、「蕨あるこうキャンペーン」を実施いたします。
このキャンペーンは、ウォーキングアプリのコバトンALKOOマイレージに登録し、12月の1か月間で、1日8,000歩以上歩いた日が4日以上あった人に、もれなく500円分のデジタルギフトをプレゼントするもので、多くの市民の皆さんにご参加いただき、ウォーキングを始めるきっかけや日々の運動の習慣化につなげていただきたいと考えています。
先月、兵庫県姫路市で「健康づくりとまちづくり~市民の一生に寄り添う都市政策~」をテーマに、全国都市問題会議が開催され、多くの先進事例や研究成果の発表がありましたが、中でも、健康づくりが選ばれるまちの重要な要素となっており、健康施策が自治体施策の真ん中になりつつあるとの話が大変印象的でした。蕨市では、今年度、スマートウエルネスシティの実現に向けて、総合的に施策を進めていくためのアクションプランの策定作業を進めていますが、今後も、コミュニティが豊かな「日本一のコンパクトシティ・蕨」の特長を活かしながら、取り組みに力を入れていきたいと思います。
産後ケア事業
4点目は、産後ケア事業について、ご報告申し上げます。
産後のお母さんは、出産による体力の消耗に加え、赤ちゃんのお世話で、ゆっくり休む間もなく、体と心に大きな負担がかかっており、最近の研究では、10~15%のお母さんが産後うつを経験しているとの報告があります。私が、子育て中の保護者の皆さんと懇談してきた中でも、産後ケア事業についてのご要望を多数いただいてきました。
そこで、蕨市では、産後のお母さんの心身のケアや育児の相談、お子さんの健康を支援する産後ケア事業を、令和4年10月から開始いたしました。初年度は、助産師が自宅に伺う「居宅訪問型」からスタートしましたが、令和5年度には、日帰りで施設に通う「通所型」、宿泊できる「短期入所型」を開始し、蕨市立病院とほっこり~の蕨中央も利用可能施設に加わりました。そして、今年度は、新たに7つの病院や助産院が加わり、現在、11施設にまで拡大しています。この間の利用者数と利用日数は、令和4年度が4名で11日、令和5年度が17名で48日、そして、今年度は、10月までの7か月間で、52名で157日と大きく伸びています。アンケート結果でも、ご利用になった方の満足度は高く、利用して本当に良かった、友人にも勧めたいなどの声をいただいています。
これからも産後のお母さんやお子さんに寄り添い、適切なケアが受けられる環境を整えることで、子育てしたいと思えるまちづくりを更に充実させていきたいと思います。
第二中学校DXルームの整備
5点目は、第二中学校DXルームの整備について、ご報告申し上げます。
社会のDX、デジタルトランスフォーメーションが進むなか、子ども達のICT教育の重要性はますます高まっていますが、蕨市では、早い段階から全児童生徒への1人1台のパソコンやWi-Fi環境の整備などを進め、今年2月の日経BP社による「公立学校情報化ランキング」では、小学校・中学校ともに県内1位となるなど、その充実を進めてきたところです。
更に、今、AIやIoTといった最先端技術を活用した学びやSTEAM教育などが重要視されるようになるなか、蕨の子ども達の、創造性豊かで問題解決能力の高い人材への育成を目指して、各中学校に「DXルーム」の整備を進めており、第一中学校に続き、先月、第二中学校に整備をいたしました。
このDXルームには、3Dプリンター、高性能パソコン、アクティブ・ラーニングに最適な机や椅子をはじめ、電子黒板や協同学習向けモバイルディスプレイなど、最先端の設備が整っています。今後、DXルームでは、高性能パソコンや電子黒板を活用したプログラミング学習やプレゼンテーション、機動的な学習環境により、アクティブ・ラーニングの手法を用いた問題解決学習、3Dプリンターを用いた思考力を養う学習活動などを行っていく予定です。
更に、来年度は、東中学校のDXルームの整備を行う予定ですが、これからも、次代を担う蕨の子ども達の教育環境の整備を着実に進めてまいります。
信濃わらび山荘廃止に伴う代替事業
6点目は、信濃わらび山荘廃止に伴う代替事業について、ご報告申し上げます。
昨年の12月市議会でご議決をいただき、今年3月をもって廃止となった信濃わらび山荘でありますが、今年度は、その廃止に伴う様々な代替事業を実施してまいりました。
まず、子ども達の健全育成事業として、各種自然体験ツアーを開催したところ、いずれも大変好評で、5月25日の「日帰りで行くヨ! 潮干狩り体験ツアー」には、定員を大きく超える175名の応募があり41名が参加、7月26日から28日の「夏休み! ワクワク自然体験ツアーin片品」には50名、9月28日から29日の「わんぱく農村宿泊体験ツアーin大田原」には39名が参加されました。また、青少年野外活動奨励費についても、今年度から1人1泊当たり1,100円から1,500円に増額いたしましたが、昨日の時点で、11団体、延べ564名と、既に、昨年度を上回るご利用をいただいています。
更に、市民の皆さんの憩いの場として、また、子ども達をはじめ市民の皆さんが豊かな自然に触れられる機会を増やせるよう、今年度から創設した「ふれあい交流宿泊費助成制度」については、昨日の時点で、群馬県片品村は13件・30名、栃木県大田原市は8件・17名、9月から新たに加えた山梨県笛吹市は14件・37名、合計で35件、延べ84名の申請をいただいており、市民の皆さんの利用が順調に広がっているところです。
今後につきましても、様々な事業を通じて、子ども達の健全育成や市民の健康増進、レクリエーション活動への支援を進めていきたいと思います。
空き店舗等の有効活用等の促進に関する協定の締結
7点目は、空き店舗等の有効活用等の促進に関する協定の締結について、ご報告申し上げます。
今月14日、市内の空き店舗等の有効活用を促進し、蕨市のにぎわいや交流の場の創出、地域経済の活性化を推進することを目的として、蕨商工会議所、株式会社ジェクトワン、株式会社埼玉りそな銀行と、「空き店舗等の有効活用等の促進に関する協定」を締結いたしました。
空き店舗対策は、全国的、かつ、喫緊の課題でありますが、これまでに蕨市では、空き店舗有効活用事業補助金の創設のほか、既存店舗の経営体質強化支援など、様々な対策を講じており、補助金を活用しての出店は、令和元年度からの3年間では1件にとどまりましたが、令和4年度から今年度までの3年間では、15件に上っています。
本協定は、これまでの取り組みを更に推進させ、自治体と商工会議所、民間企業、金融機関の4者が連携を図り、それぞれの強みを活かして空き店舗の活用を進めていく先進的なもので、現在、空き店舗対策に力を入れている埼玉りそな銀行でも、こうした協定は県内初となります。また、今回の協定に参加した株式会社ジェクトワンは、所有者から店舗を借り受け、それをリノベーションし、価値を高めて、新たな出店につなげるという手法で、多くの実績をあげてきた企業であり、今後、4者が連携して、更なる空き店舗の活用につなげ、まちの活性化を図っていきたいと考えています。
わらびりんごようかん
8点目は、わらびりんごようかんについて、ご報告申し上げます。
蕨で生まれ、日本一早く実がなる「わらびりんご」を活用したまちづくりでは、これまでにわらびりんごサイダーやシャーベットなどの商品開発を行い、多くの市民の皆さんに親しまれるとともに、蕨ブランド認定品として市外にも蕨の魅力を発信しているところです。
わらびりんごの収穫量は、今年度、過去最高となる700キログラムとなりましたが、この度、わらびりんごの商品化第3弾として、「わらびりんごようかん」が発売となりました。これは、わらびりんごの酸味と餡の甘味が溶け合う美味しさで、一口サイズのようかんが8本入りで販売価格は650円と、手軽なおみやげにもご利用いただきやすい商品となっています。先月10日から、市役所1階「カフェふわり」で、更に公募による市内事業者3店舗での販売も行っていますが、売れ行きが好調のため、今月追加製造を行ったところです。
蕨市では、現在、次なる商品として、わらびりんごワインの開発も進めていますが、これからもわらびりんごによるロマンあるまちづくりを進めていきたいと思います。
プランターファームinわらび
9点目は、「プランターファームinわらび」について、ご報告申し上げます。
「プランターファームinわらび」は、市内全域が市街化され、人口密度が日本一の蕨において、身近なところで、気軽に緑を増やし、収穫の喜びも味わえるなど、市民生活に潤いを与えるとともに、環境問題への関心も高めていただくため、今年度から本格的にスタートしたものです。4月の苗木市では、市内農家が育てた野菜や果物の苗を配布したのをはじめ、5月以降も、希望者への野菜のプランターキットの配布やエコキャップ運動での苗の配布、市内15か所の老人ホーム等へ苗・プランター・土を配布するなど、取り組みを進めてまいりました。また、7月から9月には、市内農家の方を講師として、プランターファーム講習会を4つの公民館で開催し、約100名の参加をいただいたところです。この間、本事業をきっかけに、大勢の市民の皆さんが、ご家庭でなすや枝豆、きゅうり、トマト、ブルーベリーなどを育て、市内の緑や潤いを増やしてくれました。
そして、この度、市民の皆さんが自宅で育てた野菜や花の写真のフォトコンテストを開催したところ、計60点にのぼる応募をいただきました。作品は、どれも素晴らしいものでしたが、その中から大賞1名、優秀賞3名を選出し、今月23日の園芸品評会とあわせて、表彰式を行いました。応募いただいた写真は、来月から、市ホームページなどで紹介するほか、市役所1階多目的スペースに展示いたしますが、今後とも市民の皆さんが楽しく、環境にやさしいまちづくりに取り組めるプランターファームを広げていきたいと思います。
シェアサイクル事業
10点目は、シェアサイクル事業について、ご報告申し上げます。
蕨市では、昨年5月に、民間事業者と連携協定を締結し、電動アシスト自転車のシェアサイクル事業の実証実験を行っています。シェアサイクル事業は、交通利便性の向上や地域の活性化などに資するとともに、環境にやさしい新たな交通システムでもあることから、第3次蕨市環境基本計画の重点事業に位置付け、脱炭素社会を目指すアクションとしても推進しているところです。
協定締結時は、市内15か所のステーションでスタートしましたが、今月から、新たに東公民館、図書館、市内の公園など公有地5か所を増設した結果、現在では、公有地15か所、民有地20か所の市内35か所のステーションとなっており、蕨市は、面積当たりのステーション数が、全国的にもトップクラスとなっています。また、1月あたりの利用回数は、当初の約3,300回から、今年9月には、約13,700回と、4倍以上となるなど、市民の皆さんの足としてご利用いただいています。
シェアサイクルは、便利で環境にやさしく、また、健康増進にもつながる事業でありますので、今後も、民間事業者と連携しながら、取り組みを推進していきたいと思います。
以上、簡単ですが、令和6年第5回蕨市議会定例会における市長報告といたします。
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