特設ページ 絵師・河鍋暁斎

蕨市は、平成27年8月26日に、公益財団法人河鍋暁斎記念美術館と連携協定を結びました。
これは、美術や生涯学習、まちづくりなどで、河鍋暁斎記念美術館と連携を図りながら、暁斎によるまちづくりを進めていこうというものです。
まちのたいせつな地域資源である河鍋暁斎記念美術館。このページでは、そんな河鍋暁斎の魅力に触れてみたいと思います。
蕨市のふるさと納税の返礼品に河鍋暁斎グッズ「文読む美人」シルクスクリーンを追加しました。

魅力 天才絵師が描く世界
皆さんは、河鍋暁斎という絵師をご存知ですか。
暁斎は、江戸幕末から明治にかけて活躍しました。当時、実力・人気はあったにも関わらず、没後は日本の美術史上からその名が消えた時代が続きました。
その理由の一つには、どこにも属すことができない絵師ということがあるのではないでしょうか。
葛飾北斎といえば浮世絵師とだれもが納得できます。
しかし、暁斎は浮世絵師や狩野派絵師など、さまざまな顔をもっているので、「扱いづらい」、そんなことも影響していたのではないかと思います。
もちろん、現在では、美術史にその名が戻っています。
河鍋家には、代々、暁斎が描いた作品が残っていて、曾孫にあたる河鍋楠美さんが、暁斎を広く知っていただきたいとの思いで、昭和52年に河鍋暁斎記念館を造りました。
以来、精力的な活動のなかで、たぐいまれなる才能を持った暁斎は、脚光を浴びるようになりました。
暁斎の魅力は、なんといっても、伝統技術を駆使した仏画や美人画、妖怪や骸骨が踊るユーモラスな戯画、春画など、あらゆるものを描けるその画力にあります。緻密さや豊かな表情、風刺など、どの作品も魅力的です。


習得 浮世絵や狩野派の技法
暁斎は、数え7歳で、浮世絵師の歌川国芳に入門しました。
国芳は幕末を代表する浮世絵師の一人で、猫好きで有名で、作品にも猫を多く描いています。
一方、暁斎の作品に多く登場するのはかえる。2歳のときに初めて描いたのもかえるでした。
話はそれましたが、師匠である国芳の教えは、絵を描くために、人々の動きや表情などをよく観察することでした。
暁斎はこのことを忠実に実行するため、一日中、貧乏長屋を徘徊して喧嘩や口論をしている人たちを探し歩いたといいます。
神田川で拾った生首も写生し、周囲を驚かせた逸話は有名です。
そんな熱心に絵を学ぶ暁斎でしたが、国芳の評判が悪いことを心配した暁斎の父は、暁斎を狩野派・前村洞和のところに再入門させました。
通常、狩野派の修業は12年のところを、9年でその技法を習得するなど天才ぶりを発揮。
これに留まらず、さまざまな画流を学び、それを確実に自分のものにしていきました。


戯画 幕府衰退と狂斎の時代
幕府の専従絵師である狩野派の絵師たちは、幕府の衰退とともに、絵師として生きることは難しくなってきました。
そのため、力のない者は、先祖の資産の切り売りをしたり、転職したりする絵師もいたようです。
最後の狩野派の一人である暁斎は、生計をたてるために、「狂斎」と名乗って、浮世絵を描き、戯画や風刺画で有名になりました。
特に風刺精神が旺盛だった暁斎の戯画は、たいへん人気を博しましたが、明治維新前後、政府を批判した戯画がもとで捕えられてしまいました。
翌年、釈放され、名前を「狂斎」から「暁斎」に変えています。

「化々学校」


「地獄の文明開化」
記録 ユーモア溢れる絵日記
暁斎は、幕末から絵日記をつけていて、それは、亡くなるまで、毎日欠かすことなく続けていたといわれますが、現在、4年間分に相当する量の絵日記しか発見されていません。
絵日記といえば1ページの上半分に絵、下は文章のイメージがありますが、暁斎のは、絵しか描かれていません。
来客の様子や祭り、法事など、その日にあったことを描いています。
観ていると思わず「くすっ」と笑えてしまうユーモアにあふれていて、暁斎は、ほんとうに絵を描くことが好きなんだと思ってしまいます。
そんな絵日記は、同時に、時代を映す貴重な資料であり、暁斎にとって、画技修業であり、絵を描くときのアイデア集であったのかもしれません。

弟子 ジョサイア・コンドル
明治時代、日本は近代化に向けて、優れた技術を持つ外国人を雇いました。いわゆる明治のお雇い外国人です。
その内の一人が英国人建築家のジョサイア・コンドルで、鹿鳴館や三菱一号館などを手がけましたが、コンドルが残した真の功績は、人材育成です。
教え子たちは東京駅や日本銀行本館、赤坂の迎賓館などを設計しています。
そんな日本の建築界の基礎を作ったコンドルは日本文化に関心を持ち、日本画を学ぶために暁斎に弟子入りしました。
毎週、土曜の稽古に励むコンドルに、暁斎は「暁英」の画号を与えるなど、二人の親交は深くなっていきました。
実は、このコンドルが世界に暁斎を広めた立役者なのです。
コンドルは、暁斎没後23年目に暁斎の生涯とその画技を記した本を出版しました。その本は、欧米人に暁斎を知らせる一助となりました。

画鬼 圧巻の新富座妖怪引幕
明治前期、東京を代表する劇場であった新富座に、暁斎も引幕を描いたことがあります。
友人の戯作者仮名垣魯文からの依頼を受けたもので、劇場の引幕だけに、縦4メートル、長さ17メートルと圧巻の大きさです。
当時の歌舞伎界を代表する役者を妖怪に見立てた個性あふれるこの作品は、酒を飲みながらわずか4時間で描き上げたもの。
画鬼・暁斎を再認識できる作品です。
いかがでしたか。絵師・河鍋暁斎をご紹介しましたが、暁斎の魅力は、ここでは紹介しきれないほどたくさんあります。
関心を持たれた方は、ぜひ、河鍋暁斎記念美術館に足を運んでみてはいかがですか。
動画アーカイブ
蕨市では、情報の発信としてケーブルテレビを活用した行政広報番組「ハローわらび」を制作しています。
同番組のコーナーの一つに「美術探訪」があり、年4~6回、河鍋暁斎記念美術館の特別展や企画展を制作していますが、今回、それらの放送をWEB上でもみられるようにしました。ぜひご覧ください。
令和7年3月7日~13日放送分
企画展「暁斎・暁翠 能狂言画展」同時開催 特別展「暁斎が描いた戯作本―江戸の名残から文明開化まで―」展
南町4丁目の河鍋暁斎記念美術館の第一・第二展示室では4月25日まで、企画展「暁斎・暁翠(きょうすい) 能狂言画(のうきょうげんが) 展」を開催しています。
また第三展示室では、特別展「暁斎が描いた戯作本―江戸の名残から文明開化まで―」展が同時開催されています。ぜひお楽しみください。
令和7年1月17日~23日放送分
令和6年11月15日~21日放送分
令和6年9月13日~19日放送分
令和6年7月12日~18日放送分
令和6年5月17日~23日放送分
令和6年1月19日~25日放送分
令和5年11月17日~23日放送分
令和5年9月15日~21日放送分
令和5年7月14日~20日放送分
令和5年5月12日~18日放送分
令和5年3月10日~16日放送分
令和5年1月13日~19日放送分
令和4年11月11日~17日放送分
令和4年9月9日~15日放送分
令和4年7月8日~14日放送分
令和4年5月13日~19日放送分
令和4年3月11日~17日放送分
令和4年1月14日~20日放送分
過去の放送分 平成27年~令和3年
- ハローわらび 美術探訪 令和3年分
- ハローわらび 美術探訪 令和2年分
- ハローわらび 美術探訪 平成31年(令和元年)分
- ハローわらび 美術探訪 平成30年分
- ハローわらび 美術探訪 平成29年分
- ハローわらび 美術探訪 平成28年分
- ハローわらび 美術探訪 平成27年分
- テレビ広報「ハローわらび」
広報スクラップ
『広報蕨』の平成28年6月発行分より、紙面上で同館の展示作品を紹介することで河鍋暁斎の魅力をお伝えしています。ぜひご覧ください。
令和6年
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12月分『天狗集会之図』(暁斎筆・秋月種樹賛) (PDF 1.1MB)
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11月分『『暁斎百鬼画談』より「骸骨の軍団」 (PDF 993.0KB)
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10月分『東京開化名勝記 海安寺紅葉の盛 鮫頭明神古事』(暁斎・孟斎合筆) (PDF 1.0MB)
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9月分『業平の東下り』(暁翠筆 ) (PDF 1.0MB)
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8月分『鯉の滝登り』(暁斎、柴田是真合筆 ) (PDF 1.1MB)
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7月分『月に二羽の杜鵑』(暁斎筆) (PDF 1.0MB)
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6月分『桃太郎鬼征伐之図』(暁斎筆) (PDF 859.1KB)
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5月分『紫式部・清少納言図』(暁翠筆) (PDF 827.8KB)
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4月分『応需暁斎楽画 一 地獄の文明開化』(暁斎筆 ) (PDF 1020.8KB)
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3月分『美人を驚かす内裏雛』(暁翠筆) (PDF 970.6KB)
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2月分『恵比須、大黒天とねずみ』(暁翠筆) (PDF 811.6KB)
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1月分『観音と龍神図』(暁斎筆) (PDF 952.4KB)
令和5年
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12月分『人物三長図』 (暁斎筆) (PDF 971.1KB)
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11月分『大江山鬼退治之図』(暁斎筆) (PDF 902.6KB)
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10月分『猫と遊ぶ二美人』(暁翠筆) (PDF 1.1MB)
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9月分『寛永時代美人図』(暁翠筆) (PDF 665.8KB)
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8月分『猫を捕まえる鼠』(暁斎筆) (PDF 656.5KB)
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7月分『眠り猫』(暁斎筆) (PDF 1.6MB)
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6月分『東海道五十三駅名画之書分 宮、鳴海』(暁斎、三代豊国合筆) (PDF 699.8KB)
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5月分『東海道 高輪牛ご屋』(暁斎筆) (PDF 706.8KB)
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4月分『五節句之内 皐月』(暁翠筆) (PDF 691.9KB)
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3月分『団扇絵 唐大和子供遊之図』(暁斎筆) (PDF 1.9MB)
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2月分『鯛を捕まえる恵比須』(暁斎筆) (PDF 1.9MB)
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1月分『卯歳七福神豊年踊』(暁翠筆) (PDF 1.9MB)
令和4年
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12月分『暁斎楽画第三号 化々学校』(暁斎筆) (PDF 1.9MB)
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11月分『猩々の宴』(暁斎筆) (PDF 1.9MB)
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10月分『松上一烏之図』(暁斎筆) (PDF 1.9MB)
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9月分『蛙の人力車と郵便夫』(暁斎筆) (PDF 1.9MB)
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8月分『翡翠、木蓮、目高』(暁斎筆) (PDF 1.9MB)
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7月分『見立七福神の内 花見弁天図』(暁斎筆) (PDF 1.9MB)
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6月分『節婦奇女』(暁斎ほか合筆) (PDF 1.9MB)
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5月分『郭子儀図』(暁斎筆) (PDF 706.5KB)
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3月分『渡部温 訳述「通俗伊蘇普物語」より暁斎挿絵「第30話 牧童と狼の話」』 (PDF 770.6KB)
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2月分『竹虎之図』(暁斎筆) (PDF 727.6KB)
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1月分『毘沙門天寅狩之図』(暁翠筆) (PDF 691.0KB)
過去の広報蕨 平成28年~令和3年
- 河鍋暁斎 広報スクラップ 令和3年分
- 河鍋暁斎 広報スクラップ 令和2年分
- 河鍋暁斎 広報スクラップ 平成31年・令和元年分
- 河鍋暁斎 広報スクラップ 平成30年分
- 河鍋暁斎 広報スクラップ 平成29年分
- 河鍋暁斎 広報スクラップ 平成28年分
- 広報蕨
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